睡眠学習法ならぬ、睡眠ダイエット法!

――岡田さんの主張には「寝ると体が絞れる」ともあります……。ホントですか?

もちろんです。まず寝ている間は当然ながら食事を摂ることができません。よく眠るほど脂肪の元となる余計なカロリー、そして特に現代人が過多になりやすい脂肪を摂取する機会を自然と減らすことができます。「ポジティブな機会損失」と表現してもよいでしょう。

さらに、睡眠時に分泌される成長ホルモンには体脂肪の分解を促進する役割があります。

逆に睡眠不足の状態では活力の低下から日中の活動量が減少する可能性があり、体脂肪を減少させる機会が失われていきます。地味な要素ですが日常生活の中で消費できるカロリーは少なくないため、除脂肪を進める上で無視できない要素です。

――睡眠時間の目安はありますか?

健康維持の最低ラインとしては、6時間を下回らないこと。トレーニングをしている場合は、7時間以上はとってほしいですね。

私自身驚いているのですが、意外な落とし穴がありました。7時間布団に入ることを心がけ、枕もベッドも寝具として肌に触れるものも妥協なく整えたのに、毎朝目覚めて、疲れが抜けておらず、すっきりしないという状況が続きました。

睡眠の専門医に相談し、検査をすると、「3分に1回首を絞められているような状態です」と睡眠時無呼吸症候群を告げられたのです。体作りをしている自分に限ってそんなはずはないと思ってたので絶句しました。

専門医によると、傾向として首が太い人が発症しやすいそうです。それは肥満の限りではなくボディビルダーやアスリートなど鍛え上げた結果としての太さでも起こりやすいとのことでした。

2023年、プロボディビル世界選手権マスターズ部門で優勝。脂肪がなく筋繊維が見える 写真/岡田隆提供
2023年、プロボディビル世界選手権マスターズ部門で優勝。脂肪がなく筋繊維が見える 写真/岡田隆提供
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――最後に読者に向けて一言お願いします!

勉強でも仕事でも、自ら強い意志を持って取り組むものには誰もが価値を見出しやすいです。だから「休日返上で働く」「睡眠時間を削って勉強する」「忙しいから真夜中にジムに行く」といった行動が、不断の努力として輝いて見え、美談となります。

そして反対に「休む」「寝る」といった行動に「ただの怠け」「努力していない」という印象を抱きがちです。しかし本当に大事なのは、成長(リターン)を最大化すること。休息は怠けではなく人類にとっての必須項目なのです。

寝ることで脳機能を正常に回復させ、日々の健康と最高のパフォーマンスを大事にしてくださいね。

取材・文/全夏潤 インタビュー写真/わけとく 写真提供/岡田隆

<プロフィール>
岡田隆(おかだ たかし)
1980年愛知県田原市生まれ、東京都練馬区育ち。日本体育大学教授/博士(体育科学)/理学療法士/ボディビルダー(WNBFプロマスターズ世界一)/骨格筋評論家(バズーカ岡田)。トレーニング科学、スポーツ医学を専門的に学び、身体づくりのスペシャリストとして活動している。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」など様々なメディアに「骨格筋評論家バズーカ岡田」として出演し、YouTube「新・バズーカ岡田チャンネル」などSNS総フォロワーは約50万人。『除脂肪メソッド』(ベース・ボールマガジン社)、『無敵の筋トレ食』および『最高の除脂肪食』(以上、ポプラ社) 、『世界一細かすぎる筋トレ図鑑』(小学館)など著書多数。

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