フレッシュな脳ありきのトレーニング

――休息をしっかり取るようになって、どんな変化が?

私自身の傾向やデータを見ると、やはり前日の睡眠の量によってトレーニングのパフォーマンスとそもそものモチベーションが大きく左右されることがわかってきました。

寝具にこだわり、枕、マットレス、シーツ、掛け布団類を整え、寝室のカーテンやライト、空調や香りに至るまで整え、良質な眠りを追求しました。

その成果として、40歳を超えてプロボディビル世界選手権のマスターズ(WNBF World Bodybuilding Championships Pro-Masters Bodybuilding)で優勝することができました。

高校・大学生時代は柔道をやっており、“平成の三四郎”こと金メダリストの古賀稔彦に憧れた。2012年から2021年まで柔道全日本男子チーム体力強化部門長を務めた
高校・大学生時代は柔道をやっており、“平成の三四郎”こと金メダリストの古賀稔彦に憧れた。2012年から2021年まで柔道全日本男子チーム体力強化部門長を務めた

――体に休養が必要なのはイメージしやすいですが、「筋肉を成長させるためには脳を休めろ」とも説いていますね。

トレーニングにおいて脳を休ませることが重要なのは、体の動きをコントロールし、緻密な動きを実現し、筋肉に最大出力を求めるためには、脳からの精密な指令が不可欠だからです。そして脳の疲労を除去するためには結局のところ睡眠しかありません。

例えば、バランスをとるのが難しいブルガリアンスクワット(※片足を後方のベンチに乗せて行う片足スクワット)を、脳が疲れていない午前中にすると、仕事で疲弊した夜よりもバランスがとりやすいと私は感じます。
私たちのトレーニングはすべてにおいて「脳がはじまりであり、結果を作る」と考えるべきだと私は提言します。