睡眠を削ることで帳尻を合わせるのが当たり前

――これまで「運動」と「栄養」に全集中するトレーニング環境で生きてこられてきたわけですが、ここにきて急に「筋トレの要は休養だ!」と価値観が変わりました。筋トレ愛好家もびっくりしていると思います。

そうなんですよ。体づくりの三本柱は「運動・栄養・休養」であるにもかかわらず、休養の重要性を過小評価していたことに気がついたんですよね。未熟な自分が恥ずかしい。

これまで多忙なときには睡眠を削ることで帳尻を合わせるのが当たり前でした。凡庸な自分は活動時間を増やして、量で勝負しようと。忙しければ、寝なければいい。寝られるときに眠ればいい。そう思い込んでいました。

私だけでなく仕事をしながら目標を持ってトレーニングしている人は、休養を削りやすい傾向があると思います。特に若ければ若いほど睡眠時間を削っても、それなりに頑張ることができますから。

しかし、それでは日々の健康と最高のパフォーマンスを実現できないわけです。休息は怠けでなく人類にとっての必須項目なのです。

エネルギッシュに話す岡田さん 
エネルギッシュに話す岡田さん 

――休養の重要性を強く感じた瞬間は?

脂肪燃焼を促していた減量シーズンのことです。ジムのトレッドミルでウォーキングをしていると、息の上がり方が異様でした。

ほぼ毎日通っているジムなので室内環境や機種の違いによるものではありませんし、栄養面もほぼ毎日同じもの、同じ栄養素と量を食べているので、栄養学的な問題とは考えにくい。一体何がそうさせるのか。その原因が睡眠不足だったわけです。減量期という余力がない状態にあったことで、この問題を浮立たせることができたわけです。

思い起こせば、これまでも日によって同じ重さのバーベルなのに、「今日は重いな」など重さの感覚が違うことがありました。そのたびに「そんなものは軟弱な思考である」と断じて一蹴していたのですが、どれだけ運動と栄養を最適化しても、睡眠不足ですべてが崩れてしまっていたのでしょう。