「僕と全く同い歳で、同じ年齢で、同じ年にバンドを作って…」 

しかし、期待されたわりにシングルはヒットとは程遠かったし、アルバム・セールスにもまったく結びつかなかった。

やがてメンバー間での音楽性の違いが目立ってきたことや、ドラマーとしての自分に限界を感じたことから、浜田省吾は愛奴を脱退して、自分の音楽を探す道を選ぶ。

メインとなるソングライターを失った愛奴が解散したのは、翌年末のことだった。

一部の音楽ファンからは熱い支持を得ていたシュガー・ベイブも、その年の春には解散の道を選んでいた。

「僕と全く同い歳で、同じ年齢で、同じ年にバンドを作って、同じ年にバンドのアルバムを出して、同じ年にバンドを解散して、そして同じようにソロになって、僕と同じようになかなか売れなくて、やはり僕と同じ頃にブレイクして、今でも現役で、第一線でバリバリで活躍している一人のミュージシャンがいます」

1994年春。自分のアンプラグド・ライブで、こんな紹介から『二人の夏』をバラード風にアレンジして歌ったのは、シュガー・ベイブにいた山下達郎だった。

2022年に11年ぶりに発売された山下達郎のオリジナルアルバム『SOFTLY【通常盤】』(WANER MUSIC JAPAN)のジャケット写真
2022年に11年ぶりに発売された山下達郎のオリジナルアルバム『SOFTLY【通常盤】』(WANER MUSIC JAPAN)のジャケット写真
すべての画像を見る

文/佐藤剛 編集/TAP the POP

参考
陽のあたる場所 浜田省吾ストーリー(田家秀樹著/角川文庫)