石破首相は財源論を盾にしているが… 

自民党の森山裕幹事長は、5月24日に開かれた自民宮崎県連大会で「過半数割れが起こると、本当の意味の政権交代が起きてしまう」と危機感をあらわにした。自公は過去4回の参院選でいずれも70議席以上を獲得しており、50議席はたやすいように見える。

しかし、6月22日の東京都議会議員選挙では127議席のうち、わずか40議席という過去最低の結果だった。

政治とカネ問題の不信感が払拭しきれていないことに加え、物価高による生活苦が与党への批判や不満につながっている。価格高騰の象徴となっていた主食のコメは、価格が落ち着きを取り戻し始めた。備蓄米の機動的な放出が奏功しているようだ。

これに伴い、物価高対策の「給付」対「消費税減税」という争点がいっそう先鋭化した。

一方、立憲民主党は来年4月から食料品の消費税をゼロとすることを掲げた。期間は1年間で、経済情勢を見ながら1回だけ延長可能にするという。負担軽減効果は年5兆円、国民1人当たり4万円だ。

日本維新の会は2年間に限定して食料品の消費税を0%に。れいわ新選組は消費税の廃止を主張している。

国民民主党は10%から5%の消費税減税を訴えた。賃金上昇率が物価+2%に達するまでの間、継続する意向だ。厚生労働省が7月7日に発表した5月の実質賃金は5か月連続のマイナスだった。足元では物価上昇に賃金がまったく追いついていない。

共産党は消費税の廃止を目指しつつ、緊急に5%引き下げる減税策を実施。5%の一律減税は食料品だけ、1~2年の期限付きでは不十分だという。物価高対策で最も有効なのが、すべての商品・サービスにかかる消費税負担を減らすことだと主張する。

石破茂首相は7月1日に放送された「news23」の党首討論で、「消費税は大切な社会保障の財源です」と語り、消費税減税の財源論に狙いを定めた。しかし、立憲民主党は基金の取り崩し、国民民主党は税収の上振れと国債の発行など、多くの党が財源提案を行なっている。そこを論点にするのは難しい。

7月6日にはネット党首討論に出席した石破首相(画像は本人SNSより)
7月6日にはネット党首討論に出席した石破首相(画像は本人SNSより)
すべての画像を見る

与党側が問いただすべきなのは、「消費税減税が本当に国民の負担軽減になるのか」という点だ。