給付金案は「本当にサポートが必要な人」に行き渡っているのか
そうかといって、自民党・公明党の2万円の給付金も一時しのぎに過ぎない。また、住民税非課税世帯の大人には4万円を給付するというが、本当に支援が必要な人に行き渡っているのかという疑問符がつく。非課税世帯は65歳以上の世帯が75%を占めているが、高齢者は現役世代よりも多くの資産を持っているケースがあるからだ。
非課税世帯は生活保護受給者、シングルマザーなど生活に困窮している人たちも多い。給付金を本質的に必要としている人びとを「非課税世帯」としてくくってしまうと、その存在が見えなくなってしまう。そのため、自公による給付金案は高齢者へのバラマキだと非難されてしまうのだ。
今回の選挙は、政権の行方を占う重要なものだ。日本という国をいかに成長させ、そのために政府や各党が何をするべきか、本来はその戦略を具体的に論じるべきである。それが「給付金か消費税減税か」というテーマに矮小化されてしまうところに、日本の未成熟さが表れているのではないか。
何より有権者自身が目先の利益にとらわれず、判断することが重要だ。
取材・文/不破聡 写真/shutterstock