食費にかかる消費税負担額は「1人2万円」の根拠は? 

金額が「2万円」という根拠も不明確だ。自民党の森山裕幹事長は、「家計調査では食費にかかる1年間の消費税負担額が1人当たり2万円程度だ」と説明した。

その家計調査によると、2024年の総世帯における1ヶ月当たりの「食料」への支出額は6万9530円だ。世帯人員は2.17人で、1人当たりの支出額は3万2041円となる。消費税8%で、税負担は月2千563円。年間3万756円だ。

この統計によると、4万円が給付金として支払われる非課税世帯は十分かもしれない。しかし、勤労者世帯の月間の「食料」への支出額は7万3128円であり、年間の税負担額は1人3万2351円だ。子供を持たない現役世代は、2万円では到底、税負担分を賄えないというわけだ。非課税世帯に向けたバラマキと受け止められても仕方がない。

自民党は野党から消費減税を突き付けられているが、2万円の給付を消費税負担軽減と結びつけたのは、選挙戦を視野に入れて野党からの批判をかわす狙いがあったのではないか。それであれば、国民よりも選挙戦に目が向いていることを自ら認めたようなものだ。

給付金に必要な財源は税収の上振れ分を充当するという。木原誠二選挙対策委員長は6月9日に静岡市で講演を行なった際、「国民が物価高で苦しんでいる時に、国の税収だけが伸びているのはおかしく、しっかり国民に還元していくことも大切だ」と語っている。

静岡県連大会に出席した木原誠二議員(本人SNSより)
静岡県連大会に出席した木原誠二議員(本人SNSより)

まさにこの発言の通りで、最初からストレートに「税収の上振れ分を、インフレで生活費の負担に苦しむ国民に還元したい」と語ればよかったのではないか。

党勢や野党の公約、国民の給付金への反応を気にするばかりに、給付をする・しないと二転三転し、家計調査から「2万円」が妥だと当考えたと語るなどした結果、中途半端なバラマキ政策との批判を招いてしまった。