地方選では暗雲も、情勢調査では少し安堵の声
「自民党が今月実施した参院選の情勢調査では、現有議席からは減らすものの、その下げ幅は懸念されていたほどではなく、非改選議席と合わせて自公での過半数は確保できる程度でした。少しばかり安堵のムードもただよっています」(全国紙政治部記者)
ただ、地方の首長選では暗雲も。
4月20日投開票の埼玉県秩父市長選では、保守系が強い地盤にも関わらず、自公推薦の現職が41歳新顔の前市議に敗北。
また、茨城県筑西市長選でも立憲県連の幹事長を務めていた元県議が、自民党の地方組織を支持基盤とする前市議を21票差で破って当選した。
さらに、自公にとっては参院選までのトランプ政権の動きも不安材料だ。
トランプ政権による関税措置の上乗せ分が停止されるのは7月9日まで。参院選は7月20日の投開票が有力視されており、参院選直前に経済がより混乱している可能性もある。
「ガソリン10円値下げ」も不発か…打開の一手は、消費減税のみ?
こうした危機感もあり、石破政権は物価高対策の打ち出しに躍起だ。
4月22日には、ガソリン価格を1リットルあたり10円引き下げる方針を発表。7~9月の電気・ガス代支援も明らかにした。
ただ、ガソリン税引き下げは、車を持たない都市部の若者には響きにくいうえ、電気・ガス代の補助も、その恩恵が直接は見えづらい。
こうしたことから自民党内では打開の一手として「消費減税」を求める声が高まっている。
政権が一時期検討していた国民一律の数万円の給付は、バラマキとの批判も強かったが、消費減税については日本経済新聞社・テレビ東京の世論調査で「効果あり」が59%となるなど、各社の世論調査で賛成が多くなっていることも、減税議論を後押ししている。
ただ、森山裕幹事長をはじめ自民党内には消費減税に慎重な意見も根強く、石破首相も国会で消費税について「全世代型社会保障制度を支える重要な財源」と述べ、減税について踏み込んだ発言はしていない。