夢をあきらめた後、新たな夢に向かったが挫折……
高校卒業後はスポーツトレーナーに憧れて、1年浪人して4年制の理学療法士の専門学校に進んだ。だが、覚えることが膨大で、暗記が苦手な石丸さんは苦戦が続いた。
「高校まで成績は悪くなかったのに、専門学校に入ってすぐ落ちこぼれた感があって。周りの人たちがどんどん覚えていくのに、自分はできない焦りが一番大きかったです。学校からの帰り道に車を運転していて、『このまま突っ込んだら死ねるかな』と思ったことも……。ずっと劣等感を抱えながら、ごまかしごまかしやっていた感じですね」
4年生になり、実習で患者の前に立つと頭が真っ白になってしまった。
「何をしたらいいかわからなくて、血の気が引いていく感じで……。思考も止まって、ただただ立ち尽くしてるみたいな。勇気を振り絞って『もう無理です』とだけ伝えました」
1度実習の現場に戻ってみたが、やはり何もできない。結局、4年の半ばで退学した。
半年間アルバイトをして翌春から1年間、調理師学校に通った。お菓子作りも好きだったので、パティシエを目指そうと思ったのだ。学校は楽しかったが、就職活動でつまづいてしまう。
「私は本格志向っていうか、突き詰めたくなるタイプなのか、工場とかホテルとか大きい会社ばかり受けて、落とされちゃって……。新たな夢に向かうことで気持ちを立て直したのに、これじゃ、やり直せないじゃんって。そこからあんまり記憶がなくて」
朝起きられなくなって遅刻が増え、ギリギリで調理師学校を卒業した。