エネルギーが枯渇して、またひきこもる

修行中にM-1グランプリに出たことを和尚さんに叱責され、京都の禅寺から逃げ出した八代目指圧太郎さん(仮名、42)。

実家でしばらく心と体を休めて体力が回復すると、散らかった家の中が気になった。お寺での習慣で片付けを始め、2か月ほどかけて徹底的に断捨離して綺麗になると、少し前向きな気持ちになれたという。

近所を散歩していて禅寺を見つけ、しばらく通ってみたが、京都の和尚さんに申し訳ない気持ちがして、やめてしまった。「宙ぶらりんのままじゃダメだ。何か始めないといけない」と思い、介護の仕事に応募した。

ひきこもりを脱して禅寺で修行していた太郎さん(撮影/集英社オンライン)
ひきこもりを脱して禅寺で修行していた太郎さん(撮影/集英社オンライン)
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「平均より時給が良かったんだけど、連れて行かれた施設は、入れ墨が入っている利用者さんとか、クレームばっかり言う人とか、対応が難しい利用者も多く。『明日からここに1人で来てもらう』と言われて、『いや、無理です!』と。断るのも、ものすごいエネルギーがいりました」

次にやったのは大きな病院の清掃の仕事。大した説明もされないまま「ここ掃除しておいて」と言われ、正直に「わかりません」と答えると、「役立たずが!」と舌打ちされた。

「ホントに地獄みたいなところで、もうやってらんないよって。そこでエネルギーが枯渇しちゃったんですね」

写真はイメージです(写真/PhotoAC)
写真はイメージです(写真/PhotoAC)

太郎さんはまた、ひきこもってしまった。禅寺で学んだ野菜中心の料理を両親の分も作り、夜になるとジョギングに出る。テレビを見る気にはなれず、本を読んだり音楽を聴いて寝る。そんな生活が6、7年続いた。

「体は元気なのに、何年間も何もしていないというのも、すごく心身に負荷がかかるんですね。しんどい。親がこのまま年取っていなくなっちゃって、自分も仕事できなくて……と思うと、どうしても不安で」