「金太郎、帰る。」(集英社文庫・コミック版3巻収録)
竣工式で金太郎が作業員たちをぶちのめす
竣工式というおめでたい場で、金太郎が部下をタコ殴り。いったい何があったのか。
『サラリーマン金太郎』第33話は、工事の完成を祝う“竣工式”の場面が描かれる。
竣工式とは、建物やトンネル、道路などの工事が無事に完成したことを祝う式典のこと。発注者や施工会社の関係者、地元の来賓などが集まり、乾杯や挨拶を行う。いわば「工事のゴール」を祝う正式なセレモニーである。
荒くれ者の一ツ橋土木の作業員たちと衝突しながらも、なんとか荒船山トンネルの工事を完遂させた金太郎。式でみんなの前に立つと、「乾杯する前に、片付いてないことがふたつ、みっつあるんだがな……」と話しだし、来賓たちが首をかしげる。不穏な空気。いったい何があったのか。
発端は、金太郎が赴任初日に林道で出会った現場作業員たちのことだ。彼らは飯場で働いている女性を林に連れ込み、乱暴しようとしていた。金太郎が間一髪のところで止めていたが、その後さまざまな騒動の中で、この出来事は忘れられていたかのように見えた。
だが、金太郎は覚えていた。
金太郎から名指しで呼ばれた作業員たちは、「すまねえかんべんしてくれ。今は本当に反省してるよ」と申し訳なさそうに言う。だが次の瞬間、金太郎は彼らを殴り飛ばす。
一発だけでは終わらない。蹴りを入れ、体に乗っかり、タコ殴りにする。
「女の身にもなってみろ! くそったりゃーーっ」
金太郎はそう叫びながら殴り続ける。
竣工式での暴行事件。普通なら大問題だ。だが黒川社長は金太郎を止めず、ただ黙って見ている。
すると一ツ橋土木の社長が前に出て、金太郎に土下座する。
「全てこの俺の監督の甘さのせいだ。こいつらの代わりに俺をぶちのめしてくれ」
発注者、元請け、下請け、地元関係者などが一堂に集まる竣工式。会社としての顔を見せる場でもあり、本来ならトラブルは絶対に避けたい場面での暴行沙汰。後日、この騒ぎを聞いた大和会長も「来賓の人達はどう思ったか……」と頭を悩ませる。
だがここで注目したいのは、それでも黒川社長も大和会長も、金太郎の振る舞い自体を否定してはいないことだ。
破天荒な男の暴走――。そう見えなくもないが、その裏で会社のトップたちもまた、正義のために筋を通している。
第33話は、金太郎だけでなく、黒川社長や大和会長の“男気”も垣間見える一編といえるだろう。























