ほんの数分歩いただけでも被害に
わずか16歳にして親元を離れ、京都・花街で舞妓として過ごした日々。その中で、「外国人観光客との接点も少なくなかった」と語るのは、元舞妓の桐貴清羽(きりたか・きよは)さん。
京都・花街の舞妓たちに対する未成年飲酒や性行為強要、賃金未払いなどが横行しているとして、6月5日、東京・永田町で記者会見を開き、実態調査や改善を求めて訴えた桐貴さん。
今回のインタビュー取材で、桐貴さんは外国人観光客が増加する花街のリアルを明かした。
――近年、SNS等の影響もあり、舞妓さんを盗撮する外国人観光客が増加しているとニュースになっていましたが、当時から街中でのトラブルはありましたか?
桐貴清羽さん(以下、同) 私が現役の頃も盗撮されることは日常茶飯事でしたよ。急いでいるのに外国人観光客の方に道をふさがれて通れなかったり、追いかけ回されたりすることもよくありましたね。そのせいで遅刻してしまっても、怒られるのはもちろん私たち。
私が舞妓をしていた2015年から16年にかけては、ちょうどインバウンドブームが始まって、外国人観光客が一気に増えた時期だったんです。
現役の舞妓さんたちからも、同じような被害に遭っているという話をよく聞きます。「コロナ禍は人が少なくて快適だったけど、すっかりもとに戻った」と話す舞妓さんもいますね。
ひどいときは袖をつかまれて、着物が破れたこともあります。高価なかんざしを後ろから抜き取られたこともありましたね。そのことを報告しても、「あんたがしっかりしてへんかったからや!」と怒られるばかりでした。
外国人観光客に後ろから着物の首元にタバコの吸い殻を入れられて、泣きながら帰ってきた同期の舞妓もいました。
そういったことをする方は、日本人の観光客よりも圧倒的に外国人観光客の方が多いと聞きます。
――京都市を訪れる外国人観光客は年々増え、昨年は初めて1,000万人を超えたとのこと。今後ますます増えることを考えると、本当に心配です。
実際、ほんの数分歩いただけでも被害に遭うことがあるので、できるだけ外を歩かず、タクシーで移動するようにしていました。それでも、タクシーの窓ガラスにカメラを押し付けて、写真や動画を撮られることもあって……。逃げ場がないと感じている舞妓さんは今でも多くいます。
――インバウンド増加の影響で花街の雰囲気は変わりましたか?
花街の中に普通の飲食店が増えてきていて、外国人の方がお茶屋さんに間違えて入ってきちゃうという話をよく聞きますよ。