下半身裸で倒れていた高齢者の意外な死因はトイレでおなじみの“ある”行動…突然死すら招きかねないシニアの便秘の恐怖
亡くなられた方の死因を解明する法医学者として、今まで5000体以上の解剖をしてきた高木徹也氏。そんな彼が遭遇した何気ない日常での行為が引き起こしたまさかの死亡事例の数々や医学的現象を教えてくれた。
『こんなことで、死にたくなかった 法医学者だけが知っている高齢者の「意外な死因」』(三笠書房)より、一部を抜粋・再構成してお届けする。
『こんなことで、死にたくなかった』#1
高齢者がトイレで「きばる」と…
歳を重ねると副交感神経の反射が弱くなり、腸の動きが悪くなります。そのため、便が腸に留まる時間が長くなって便が硬くなり、出にくくなります。
さらに本来であれば、便が直腸という器官に到達すると、直腸の神経が反応して大脳を刺激し便意を感じますが、これも感じにくくなります。加えて、排便するときに必要な腹筋や肛門の筋肉の働きが弱くなるため、便を押し出しにくくなります。
また生活習慣病によって、腸に向かう血管に動脈硬化症が生じると、余計に腸の動きが悪くなり、便秘になってしまいます。
写真はイメージです(写真/Shutterstock)
このような理由から、高齢者はトイレで長い時間「きばる」のです。
きばれば血圧は上昇し、脳血流が増加。これにより、動脈硬化の進行によって脳に形成されていた動脈瘤が破裂して、脳血管系疾患を起こすことがあります。
なお、脳血管系疾患を発症すると激しい頭痛に襲われますが、すぐに心臓停止や意識消失には至りません。
写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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頭痛に耐えながらトイレから這いずり出て、携帯電話で助けを呼ぼうとして倒れこむので、ご遺体の膝に擦りむき傷ができるわけです。
日常的に使用するトイレも、高齢者にとっては突然死しかねない場所であることを理解して、用を足すときには気をつけてほしいですね。
※このような危険を避けるには……
・食物繊維が含まれる食事など、便通がよくなる食生活を心がける。
・家族は高齢者が便秘になりやすいことを理解する。
・便通が悪い場合には医師に相談し、適切な処方を受ける。
文/高木徹也
『こんなことで、死にたくなかった 法医学者だけが知っている高齢者の「意外な死因」』(三笠書房)
高木 徹也
2025/3/27
1,760円(税込)
248ページ
ISBN: 978-4837940319
◎発売2週間でたちまち重版!
◎高齢者の「あっ、死ぬかも」から命を守る本
◎「死因のプロ」が49の事故例を徹底解説!
大人気ドラマ『ガリレオ』シリーズを監修し、
5000体以上を検死・解剖してきた法医学者が、
高齢者を襲う「まさか」の死因を解き明かす!
親、祖父母、パートナー、友人、そして自分。
身近の大切な人を、突然失わないために――
□トイレできばって死ぬ
□飛行機に乗って死ぬ
□くしゃみで死ぬ
□押入れに頭をぶつけて死ぬ
□ジョギングで死ぬ
□薬の用法・用量を間違えて死ぬ
死の危険は、知っていれば避けられる。
本書では「なぜ死に至ってしまうのか」「そのような危険を回避する方法」も解説しています。