熱中症で死亡するケースが、年々増えている
近年、地球全体における平均気温の上昇が問題視されるようになりました。いわゆる「地球温暖化」「地球沸騰化」と言われる現象です。
二酸化炭素などの温室効果ガスの増加が原因とされたり、惑星としての本来の気温に戻っていると言われたりしていますが、原因はどうであれ、夏の灼熱地獄はたまったものではありません。
私たち法医学者も仕事上、暑い時期に熱中症で死亡するケースが、年々増えていることを実感しています。
もともと高齢者は、若年者に比べて、暑さなど周囲の環境変動に対する感覚が鈍くなっています。そのため、一人暮らしの高齢者が、室温が40度を超えてもエアコンを使わず、熱中症に陥ってしまう例に遭遇することがあります。
こうして亡くなる方の場合、発見までに時間がかかることも多く、ご遺体の腐敗が進んでいたり、ひどく乾燥していわゆるミイラ化した状態で発見されたりします。
こうなると、検案や解剖でも死因の断定が難しくなり、警察の捜査情報をもとに、「熱中症(推定)」と死因を推測するしかないケースも少なくありません。