全国10競馬場の総来場者数の2倍の人が夢洲カジノを訪れる?
年間2000万人の来訪者うち、カジノの利用者数は1600万人と見込んでいる。そして想定では7割が国内在住者だ。つまり、1120万人の日本人がカジノを利用するとの計画だ。
本当に、たった1つの施設にこれだけの人が訪れるのだろうか?
JRAの全国10競馬場の総来場者数は年間513万人、全国5箇所のオートレースの総来場者数は84万人ほどだ。夢洲のカジノには、それを遥かに上回る人が押し掛けるというのだ。
仮にこの1120万人のうち6割が大阪府の住民だとすると、月1回カジノを訪れる府民は56万人という計算だ。この数字は大阪府の20歳から74歳までの全住民のおよそ1割に相当する。だが、エンターテインメントビジネス総合研究所の調査における、“過去1年間”に「パチンコもしくはパチスロ」を1回以上遊んだ人の割合でも、たった8.5%に過ぎない。
こうした数字を見ていくと、カジノの来訪者見通しは甘いと言わざるを得ないのではないか。
しかも、カジノにはギャンブル依存症対策が設けられている。マイナンバーカードで本人確認をし、1週間に3回まで、4週間で10回までという厳しい入場制限が課されているのだ。加えて、日本人や国内在住の外国人に対しては6000円の入場料も徴収する。ギャンブル依存症対策として必要な措置ではあるが、集客という側面だけで見ると足かせとなっている。
5200億円という収益計画も海外の施設と比較すれば眉唾ものである。シンガポールを代表する「マリーナベイ・サンズ」のカジノの開業3年目の収益は2332億円だ。10年経過後でも3413億円に過ぎない。マカオの「ザ・ベネチアン・マカオ」のカジノは3年目が1882億円、10年目が3180億円である。
夢洲のカジノ構想はスロットマシンの台数が6400台であり、上記の海外施設と比較すると2~3倍多い。5200億円という収益計画は、まるでこのマシン台数をベースに計算しているようにさえ見える。夢見がちな箱物ビジネスの典型例のようだ。