毎日通う上での心がけ
愛知・上海・麗水につづき、4度目の皆勤を狙う大阪・関西万博。76歳の後期高齢者でもある「万博おばあちゃん」だが、毎日通う上で心がけていることを聞いてみた。
「体力を減少させないため、会場近くに部屋をおさえたほか、いつも同じリズムで生活することを心がけています。朝5時に起きてご飯を6時に食べて駅に7時半ごろについて、会場に午前9時に入場し、午後3時ごろに退場する。並ぶ時間も日々同じ程度にするようにしています」
誘致が決まったときは「息子の合格発表の10倍うれしかった」と語る大阪・関西万博は、愛知万博と異なり、完全事前予約制が採用されているが、それが山田さんにとってはプレッシャーとしてのしかかっている。
「愛知は予約もあって、並んでいいゲートも設けられていたので、並べば必ず入れるという安心感がありましたが、今回は予約制なので自力で行けない可能性があるのは、すごくプレッシャーです」
と語る。実際に万博会場を巡ってみた感想を聞いてみると、
「すでに頭の中に万博会場の地図がインプットされていますが、敷地が広くて回るのは愛知万博のときよりも大変ですね。ただゴミの島だった夢洲が、現在は環境を考える国際博に生まれ変わったことにとても感動しています。閉幕後もこの土地を見るたび、大阪・関西万博を思い出すような、話題性にあふれた理念の継承の地になってほしい」
と、愛知から足しげく通い2000日前から工程を見守ってきた夢洲会場にも思いを馳せる。「此花区 万博広報大使」にも任命された山田さんだが、すでに多少の関西弁を使いこなし、会場内外で万博の魅力を広める活動をしているという。
「大阪に引っ越してきてから、地域の人とコミュニケーションを取るために夜は銭湯に通っています。なるべく関西弁で『今日な、万博行ってきたんよ!楽しそうやったで!』と言って銭湯も主戦場に万博のPRをしてます(笑)
一度会場近くの地元の人と話した際、『万博が大好きで毎日行くために大阪に引っ越して入場券も毎日買ったんです』って話をしたら、『あんたアホやな。万博やってるけど、誰も行こうって言わへんよ』と言われて大変ショックを受けました。そういう方々にも万博の魅力を熱心に伝えていきたいと思います」
会期中185日間の皆勤を目指す「万博おばあちゃん」。ぜひ会場内で見かけたら気軽に話しかけてみてほしい。
取材・文・撮影/木下未希