愛知につづき、中国・韓国の万博も皆勤の偉業
2005年に地元・愛知で開催された「愛・地球博」との出会いが、これまでの山田さんの人生を大きく変えた。
「私はずっと目も悪くて病気がちで5度も手術をしたんです。だから、そのころ毎日通うのは万博ではなく病院でした。地元で万博が開幕することを機に、かかりつけの医師から『散歩がてらに毎日行ってみたら』と勧められたことがきっかけだったんです」
愛・地球博を「万博学校」と見立て、当初はリハビリ目的で通うことにした山田さん。しかし、日々進化していく会場内の様子に圧倒され、環境を見直すことの大切さを学んだり、異国のスタッフとの交流を深めるなかで、次第に前向きな生活を取り戻していったという。
「継続のコツは『必ず続けることの要素を作ること』だと息子に言われ、会場に行った際には必ず写真を撮り、それをノートに記録しています」と万博ノートも見せてくれた。
愛知万博を皆勤したことで、当時の小泉純一郎首相からお礼状をもらった山田さん。以降も万博愛は一層深まり、2010年の中国・上海万博では自費で上海市にマンションを1年間借り、再び皆勤を遂げ、中国メディアにも取り上げられるなど一躍時の人に。2012年の韓国・麗水万博でも同じく自費でマンションを借り、これまた皆勤を果たしたのだった。
「『物好き』とか『毎日行ったってパビリオンの中身や会場が変わるわけない』とこれまで散々批判もされてきましたが、それは違うと思っています。入場の気分の高まりはもちろん、日常では見られないパビリオン内の様子や、参加国のナショナルデーのイベントもあり、そこで各国の香りや踊りや国民性に直で接することができる。日々変わっていく国の表情を感じられるのは毎日来た人の特権だと思います」