スポーツ番組にも出演させていた杜撰さ

また、今回ひとつの焦点となっていたフジテレビ社員の直接的な関与は認められていないが、食事会の2日前に同じ場所で開催されたバーベキュー会があり、その際に当該社員から女性は「仕事でプラスになる」と言われたという。

このことが、女性が問題の食事会をこのバーベキュー会と似たものだと認識したことに、間接的に影響していると結論づけられている。当該社員はふだんから中居氏に頭が上がらない様子が報告書に記録されているが、大物タレントに物申せない関係性はテレビ局の関係者らしい図式ともいえる。

テレビ局のこうした体質は他の場面にも見て取れる。中居氏の継続起用だ。

2023年12月21日に、2024年4月改編に向けた広告会社への説明会を開催しているが、その2週間ほど前に港元社長らが「まつもtoなかい」を終了させるかどうかの協議を行なった。しかし、松本人志氏と中居氏という大物タレントを2人揃えた目玉番組であり、突然の終了は女性を刺激するとの考えから番組継続を決定した。

2023年12月27日発行の『週刊文春』では松本人志氏の性暴力疑惑が報じられている。これによって松本氏は「まつもtoなかい」出演の休止を決定した。しかし、編成局内では番組タイトルが「だれかtoなかい」となることに決定し、放送が継続されることで進められている。

番組の在り方を再考するタイミングだったはずだが、終了の是非は港元社長らの間で協議すら行なわれていない。広告会社向けの説明会を終えており、番組継続ありきで話が進んだということだろう。最終的にこの番組の終了が決定したのは、2025年3月の改編だった。

また、問題発生後の2024年10月31日のMLBワールドシリーズの中継サポーターとして、フジのスポーツ局が独自に中居氏を起用していた。編成制作局が起用を知ったのは放送の数日前で起用を止めることはできなかったという。

同時期になっても港元社長らは中居氏の起用を止めるよう公言したり、すでに広告枠の販売を終えている番組について、中止や放送の取り止めなどの積極的な行動をとっていない。コンプライアンス推進室や取締役会に情報を共有せず、対応方針を練ることも行なわれていなかった。