トップ以外の人事も日枝氏の顔色を見ていた…

また、“フジの天皇”と呼ばれた日枝氏に対する、踏み込んだアンケート調査も行なわれている。

「日枝久氏がフジテレビグループの人事権を掌握しているという見方がありますが、そのように感じますか」という質問に対して、感じるとの回答は82%に上ったという。「役員が日枝氏のほうばかり見て行動している」「実力や素養に関係なく日枝氏に気に入られた人物が出世する」との回答があった。局長以上の人事はすべて日枝氏が決めているという話も複数回答出ている。

第三者委員会による報告記者会見には弁護士など13人の委員会メンバーが出席
第三者委員会による報告記者会見には弁護士など13人の委員会メンバーが出席

トップ人事は日枝氏が決めていたが、下層の人事は会長と社長が決めていたものの、日枝氏に“お伺い”をしている状況も見受けられたという。これは会社内において責任感や当事者意識を削ぐことになり、悪しき慣習であると述べられている。

日枝氏の退任を含む経営体制の刷新を発表したフジ・メディア・ホールディングスだが、最大の山場は6月の株主総会だ。

かつてフジテレビを巡る激しい買収合戦を繰り広げた堀江貴文氏は、株式を取得したことを公言。3月27日に社会学者の古市憲寿氏が「めざまし8」のコメンテーターを降板することを受け、堀江氏はSNSで「古市くん、フジメディアホールディングス取締役に推薦したいです」などと投稿している。

さらに、米国のアクティビスト投資家、ダルトン・インベストメンツは日枝氏の退任を要求していたため、今回の退任は株主に歓迎される可能性は高い。

しかし、取締役選任議案がすべて可決されるかは不透明だ。第三者調査委員会の調査結果を公表したことは信頼回復に向けた第一歩となる。

ここからフジテレビはさらなる正念場を迎える。

取材・文/不破聡   撮影/村上庄吾