「伝説に残る“最悪”の記者会見」

「人権に対する意識の不足から、十分なケアをできなかった当事者の女性に対し、心からお詫びを申し上げたいと思います」

27日午後4時から行なわれた会見には、フジテレビの港浩一社長を含む幹部5人が出席。会見冒頭、当事者女性はじめ関係者への謝罪の言葉を口にし、港社長含めた幹部の辞任や、第三者委員会の設置などが報告された。

その後、質疑応答に入ると、トラブルの経緯に関する質問が飛び交い、「プライバシー観点の保護から答えられない」と伝えられると、「答えましょうよ!」「何のための会見だ!」などと開始30分で怒号が飛び交う事態に…。中盤には記者同士で「うるさいよ!」と言い合うなど混沌とした中、会見は10時間以上にわたり、Xでは経営者陣の老体を労わり「フジテレビかわいそう」がトレンド入りするほどだった。

「記者会見のプロ」として知られる広報コンサルタントの石川慶子さんに、今回の会見の感想を率直に聞いてみたところ、

「これまでいろんな謝罪会見を見てきましたが、10時間半という長さも含め、伝説として語り継がれるほど“最悪”な記者会見でした」(石川さん、以下同)

と辛辣な評価を頂いた。そもそもここまで長丁場になってしまった要因はなんなのか―。

「会見が10時間半にも及んだのは、フジテレビ幹部がこの問題の本質的な原因に向き合っていないことが一番大きな要因だと思います。同じことが記者から繰り返し質問されるのは、彼らが回答していないからなんです。

彼らとしてはこの会見を『信頼回復の第一歩』にしたかったんでしょうけど、その基準が世の中とずれてしまっていることが明らかになったと思います」

また出直し会見をやっている企業が大手メディアという観点からも今回の会見を“失敗”と指摘する。

「いつも責任を追及する立場のメディア側が、(1回目の会見で)自らの不祥事をクローズドにした姿勢は、世間から問われた部分でもありました。結果、スポンサーが離れ、大きな経営危機をもたらした。あの経営判断は歴史的な大失敗です。

2回目はその反省を活かして制限を設けず行ないましたが、実際に1回目の失敗をリカバリーするためだけであって、本質的な問題に関しては何ら説明ができていないと感じました」

会見で辞職を発表した港浩一元社長(撮影/村上庄吾)
会見で辞職を発表した港浩一元社長(撮影/村上庄吾)