「なりたい人はまだいます。でもハードルが高い」
コメ作りで累積1億円の借金を抱えるも、昨今はようやく少しずつ利益も出るようになったというコメ農家の岡田さん。彼に近況や、備蓄米放出について聞いてみた。
「単年のマイナス額も5万円とか10万円とかそのくらいで『惜しいっ』みたいな感じになってきて。米価に左右されるので毎年ではないですが直近ではなんとか年収400万円くらいになり、コメの価格が高騰した去年は600万円くらいまで増えました。やっぱり嬉しいですよ。
備蓄米が放出されたとしても今年に関しては、去年と同じくらいの価格で推移するのかなとは思っています。またいつ価格が落ちるのかわからないですが、今くらいの価格であればやっていけるんですけどね。
あと僕みたいに脱サラしてコメ農家をやりたいって人は想像以上に多いし、実際にやり始めている人も周囲にいます。40代で脱サラしてコメ農家を始めたものの『何をやっても黒字化できない』という相談も受けますし、『あなたのところで働いて、どうやって黒字化したのか体験してみたい』と来られた方もいました」
コメ農家を志望する他業種の若手も少なくないが、参入障壁も依然として高いという。
「過去最高にコメ農家は減少していると言われていますが、なりたい人はまだいます。でも、やっぱり色々ハードルが高いんですよ。農機具を購入するための補助金はあっても、さまざまな条件を課されます。
その中でも一番きついのが営業利益を黒字化しないといけないという条件でしょう。そのためには事業規模を大きくする方がいいけれど、そうすると今度は機械や人件費が増えていく。小規模で農地を持っていない場合、お金を払って田んぼを借りればまず利益は出ないと思います。
僕の周囲でも高齢者をはじめ、この数年でトータルで30人近くが離農されました。何とかコメ農家減少に歯止めをかけたいのですが」