入れるときより取るときのほうが痛い
とはいえ、気になるのはやはり治療中の痛みだが……。
「はい、痛いですよ」と、めかた院長はきっぱり言い切る。
「レーザーがタトゥーの色素に反応し、発熱するため、やけど的な鋭い痛みが続きます。
大体の方が、『入れるときより取るときのほうが痛い』とおっしゃいます。また、入れるときはワクワク感でテンションも上がっているでしょうから、痛みもそこまで感じないのかもしれません。脱毛を経験されている方だと『脱毛の10倍以上痛い』と、みなさんおっしゃいますね。
一時期流行ったトライバル柄は、結構深くまで入れるので、痛いうえになかなか除去が終わりません。
同じく、入れて数か月しか経過していないといったタトゥーも、痛くて除去しづらいです。これは、墨が入ったばかりで、皮膚に安定していないからレーザーの反応も安定しないんですね。反対に、3年から5年くらいしたものなら、安定しているので比較的除去はしやすい。
加えて、ヨーロッパ系のタトゥーショップが比較的多く使用している、金属系の色素が使われているタトゥーの場合、レーザーに反応して余計熱くなりますから、激痛でしょう。痛みのあまり脂汗を流す方も多いですね。
もちろん、私が麻酔科医ということもあって、別料金で麻酔クリームなどの対応もできますが、それでも痛みはあります。全身麻酔もできなくはないのですが、治療は回数を重ねなくてはならないので、何回もとなると、身体にも金銭的にも負担がかかりますからおすすめはしません」
あまりの痛みに、ドロップアウトする人も結構いるという。
「2割くらいでしょうか。『家族に言われたから』といった、自分の意思でない方ほど、痛みに耐えられなくて途中で来なくなってしまうことが多いです」
そんななか、こんな強者もいたそうだ。
「背中一面の刺青への治療中、いびきをかいて寝ている方もいます。これは、上手な和彫りを施された方の反応なのですが。
和彫りの上手な彫師さんは、墨を深すぎず均等に入れられるんでしょうね。また、墨は金属ではないので、レーザーでそこまで熱を持ったりしない。レーザー自体のチクチクした痛みはあるのですが、背中はもともと痛みに対して鈍い部位でもあるので、たいして気にならないのでしょう」