どう地域の暮らしを守るのか、破綻する前に議論してほしい
――大きな問題を前に、宮崎さんがこれからの郵政グループに期待することは?
民営化を進めた小泉純一郎元首相が現状をどう見ているのかお聞きしたいと考え、数年前に取材を申し込んだことがありますが、断られてしまいました。
確かなことは、郵便物は減り続けており、過疎化が進む地方では郵便局の利用者も減少するということ。今の無理な収益構造を変えなければ、また別の形で問題が噴出し、いつかは破綻してしまうのではないでしょうか。
一方で、郵便局がなければ生活が困難になる地域があるかもしれません。そこではどのようなサービスが求められているのか、そのサービスをビジネスとして維持できるのか、無理な場合には国がやるべきなのか。
簡単に結論をだせる問題ではないと思いますが、地域の生活インフラを守るためにも、郵政グループだけでなく国会にも、議論の入口に立ってほしいと願っています。
取材・文/宿無の翁 写真/わけとく
〈プロフィール〉
宮崎拓朗(みやざき たくろう)
1980年生まれ。福岡県出身。京都大学総合人間学部卒業後、2005年に西日本新聞社に入社し、長崎総局、社会部、東京支社報道部を経て、社会部遊軍に配属された2018年より日本郵政グループを取材し、「かんぽ生命不正販売問題を巡るキャンペーン報道」で第20回早稲田ジャーナリズム大賞、第3回ジャーナリズムXアワードのZ賞、「全国郵便局長会による会社経費政治流用のスクープと関連報道」で第3回調査報道大賞優秀賞を受賞。現在、西日本新聞社北九州本社編集部デスク。