2025年は「タワマンバブル」のターニングポイント?
2025年が「タワマンバブル」のターニングポイントになるとはどういうことか。
ポイントは、1月24日に0.25%から0.5%に引き上げることが決定した、日銀による金利上昇政策だ。金利が上がれば、企業や個人は資金を調達しづらくなり、景気の過熱が抑えられる。すると、これまでほどタワーマンションの価値は上昇しなくなる。
「投資はムードが大事なのですが、金利が上がることによってタワマン投資へのムードが冷めると思います。プロの投資家ほど早く手を引いて、今回のバブルに乗じてマンションを買った個人が最後は取り残されてしまう可能性があります」(牧野知弘氏、以下同)
パワーカップルを苦しめる金利の上昇と物価高
中でも危ないと牧野氏が考えているのが、世帯年収1500万円〜2000万円で、いわゆる「勝ち組」的な存在として世間からイメージされている「パワーカップル」だ。
「日本で言われる『パワーカップル』の年収から見ると、夫婦がタワマンを買おうとすると、1億円ぐらいの借金をしないといけません。それでも現在は銀行から融資が降ります。夫婦それぞれ5000万円ずつぐらいの借り入れをして、お互いが連帯保証をする、いわゆる「夫婦ペアローン」という制度です。ただ、その場合、生活はギリギリになります」
牧野氏は実際に、金利の上昇が彼らの生活にどう影響するのかをシミュレーションしている。
「期間35年、9500万円ぐらいのローンを借りている夫婦を例にしましょう。この場合、金利が1%上がると、月額の返済額は5万円ほど増えます。すると、年間で60万ほどの増加になるわけです」
そこに重なるのが、物価の上昇だ。
「現在は食料品にせよ燃料費にせよ、生活物価がどんどん上がっています。さらに、まだあまり気づかれていないのですが、毎月払うことになっている管理費と修繕積立金は今後、間違いなく上昇します。管理費は人件費、修繕積立金は大規模修繕と設備の更新を行うための資金の値上がりです。
人件費も高騰していますが、私が驚いたのは修繕積立金。最近、建設費がすごく高くなったと報道されていますが、同時に設備費の高騰も驚くほど進んでいます。
例えば、エレベーターや給湯器、ポンプのようなものですね。これが目の玉が飛び出るほど、値上がりをしています。
ということは、今後やってくる大規模修繕のために積み立てている現在の積立額では、全く資金が足りなくなるはずです。ですから、マンション側としては修繕積立金の増額を検討せざるを得ない。
ただ、その値上げを実行に移すまでは時間がかかるので、おそらく今年や来年の管理組合総会で諸経費の値上げを発表するのではないかと思います。ローンの返済も待ってくれないので、おそらくこの2〜3年でタワマン暮らしから脱落するパワーカップルが出てくるのではないかと思います」