人生のプランも、夢も、奪われた
――将来のプランは?
マリーナ 戦争が始まる前はいろいろな人生プランがあったけれど、無くなってしまいました。戦争に勝って、安全に帰る場所ができることが大事です。
オリー 私はマリーナをとても尊敬していますし、彼女の話には心を動かされました。でも彼女の人生プランや夢が、ある朝、劇的に、暴力的に、奪い去られたのです。これには怒りを感じますが、彼女が冷静に適応していることに本当に驚かされます。
――ウクライナでは成人男性が国を出られないことについてどう思いますか?
マリーナ この制度には賛成します。私たちが戦争に勝つことは大事。ウクライナの男性だけではなく、ドイツ、チェコ、ポーランド、イギリスからも、戦闘面で支援してもらうことは大事だと思っています。
――戦前、ゼレンスキ―大統領を支持していましたか?
マリーナ いいえ、支持していませんでしたし、おそらく多くの人も同じだと思います。そもそも大統領選で当選したことについて、彼自身も驚いていたに違いありません。それでも今は彼に感謝しています。キーウに残り、ロシア軍から逃げなかった。彼のしたことは歴史に刻まれるようなすごいことだと思います。
――ロシアはウクライナの中立化を掲げていますが、この点はどうお考えですか?
マリーナ ロシアはウクライナを乗っ取ることだけが目的ではなく、文化、言葉など含め、ウクライナ自体を壊すことを目的にしています。ロシアとの関係において中立はあり得ません。
――約80年間、戦争をしていない日本では、ウクライナは戦争を終わらせるためにロシアに降伏すべきという世論もあります。それについて意見を聞かせてください。
マリーナ 国民の独立無くして、平和はありえません。私たちは戦います。
オリー ウクライナは、一度も戦争を仕掛けたことがありません。しかし、自分の国が無くなってしまうとなれば、戦わなければならない戦争もあるのです。
日本は、尖閣諸島問題や米軍基地でアメリカ兵のサポートをするなどしており、完全に「戦争をしていない」とは言えない状況にあると思います。
――戦争が終わったらウクライナに戻りますか?
マリーナ もちろん。イギリスは好きですが、家に帰りたいです。イギリスに来たのは子どものため。子どもがいなかったら、今もウクライナに残っていたでしょう。