難民を受け入れないことは「馬鹿げている」

――オリ―さんはなぜ、ウクライナ難民を受け入れようと思ったのですか?

オリー 戦争が始まった時、私は毎日ニュースを見ていました。怒りを覚えました。開戦の時期は電車などが止まっていたので、私はポーランドに行き、ウクライナとポーランドの国境近くのプシェミシル駅で、鉄道が復旧するまでの12日間、ウクライナ人家族を車に乗せ、国境付近からクラコフ、ワルシャワやその他ポーランドの都市に移動させる手伝いをしました。

その時、ウクライナの人々は勇敢で礼儀正しく、尊厳のある人たちだと感じました。他のヨーロッパは難民を受け入れているのだから、イギリスももっと行動を起こすべきだと思い、Facebookグループを立ち上げ、地元の議員に手紙を書き、家族と話しました。

私たちがウクライナの家族を助け、自分たちの家に受け入れているという事実を、明白にする必要があります。

――受け入れで困ったことは?

オリー イギリスは難民の受け入れに対し、政治的に消極的だと思います。ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)以降、基本的にイギリスは右翼的(保守的)政策をとるようになりました。

しかし、イギリス国民が難民を受け入れるよう政府に圧力をかけたことで、政府はウクライナ人のための住宅プログラムを急いで導入したのです。

マリーナは運よく2週間で来られましたが、ウクライナの東側では、いまも非常に危険な状況に晒されながら何週間も待っている人がいます。それに対して何もできないことを、いちイギリス国民として恥ずかしく思います。

――受け入れてよかったですか?

オリー お手伝いできたことを、とても嬉しく思っています。隣人を愛しなさいという言葉がある通り、助けを必要としている人たちに、常に目を向けるべきです。妻も子どもたちも賛成してくれ、協力もしてくれています。

「職もお金も支援策もない」急増するウクライナ難民たちの今_d

――難民を受け入れてから、家族に変化は?

オリー ポジティブな変化がたくさんあります。はじめは、会ったことのない、異文化の家族と一緒に暮らすことは容易なことではありませんでしたが、今では大きな家族のような存在です。

(イギリスに住む)私たちには家があり、ウクライナの人々は困難な生活を送っています。(難民を受け入れないことは)馬鹿げていると思います。