「ホス狂のみんなに、その夢はいずれ覚めるよと言いたい」
目が覚めた瞬間にA子さんが思ったことは「こいつといかにスムーズに別れるか」だった。
「その男は女に金を使わせることはできても、自分で金を稼ぐことはできないんだと気づいたら、完全に冷めました。その瞬間から距離を置くようにして、夜逃げ同然で家を出て結婚から1年で離婚しました」
A子さんは「担当ホストと結婚しても幸せになれない」と断言するも、それは「人から言われて気づくものではない」とも言う。
「今はホストのために海外に出稼ぎに行く子も多いと思いますが、渦中では誰にどう反対されても“その先に幸せはない”と気づけないと思います。私もそうでした。だから自分の体力の限界を迎えるか、そのホストの人間としての薄っぺらさを目の当たりにして覚めるか。そうでなければ気づかないと思います」
ホス狂時代を振り返り、「もう2度とやりたくないけど楽しかった」という。
「ハードSM店に勤め、毎日客から体を切られ、客のウンコ食べて得た金をホストに貢いでた元ホス狂の友達も、“ホストの薄っぺらい一面”を見て目が覚めたと言ってました。私もその子も“まあ、ホス狂時代も楽しかった”と振り返ってます。もちろんもう2度と経験したくないけど。だからホス狂のみんなにも、その夢はいずれ覚めるよ、それと同時にホストへの思いも覚めるよって言いたいです…」
A子さんは現在、会社員と再婚し、関東近郊の長閑な街で暮らしながら専業主婦をしているという。
「今日、歌舞伎町に来たのも久々です。今は夫と犬と3人暮らしで何も刺激はありませんが、不安や苦痛は何もありません。これが幸せなんだなと噛み締めています」
そう言って笑うA子さんの左手の薬指には現在の夫との結婚指輪が光っていた。
取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班