わずか10年で売上高を3.5倍に成長させた、ノジマの多角化経営戦略
ノジマは2014年に事業の多角化が決定的となる転換点を迎えた。
この年の3月にケンウッド・ジオビットの買収。この会社はJVCケンウッドが展開していた携帯電話の販売事業で、ソフトバンクとウィルコムのキャリアショップを67店舗も持っていた。
そして11月には携帯電話販売代理店のアイ・ティー・エックスを取得すると発表。これによってノジマは関東甲信越エリアの携帯電話販売店が業界3位となり、先行するティーガイアに迫る勢いとなった。
ノジマの業績は2012年3月期から2期連続の減収で停滞しており、、オーガニックでの成長に限界が見え始めていたのだが、ケンウッド・ジオビットを子会社化した2014年3月期は9.2%の増収に。
アイ・ティー・エックスが業績に反映された後、2016年3月期は売上高が4548億円となり、前期のおよそ1.9倍に跳ね上がった。
2017年にはニフティを取得し、プロバイダ事業へと参入。さらに2021年には衛星放送事業者であるAXNエンタテインメント、ミステリチャンネルなどを買収して放送事業にも進出した。
2019年にはスルガ銀行と業務提携をして金融事業への参入を試みたものの、経営の方向性が合致せずに頓挫。
2社の提携関係は解消されたが、ノジマは2023年にFX投資などを行うマネースクエアHDを取得して金融事業への参入自体は果たした。
この年には携帯電話販売のコネクシオを買収し、携帯電話販売におけるシェアをさらに高めている。
こうしたコングロマリット化によって、2014年3月期は2000億円台だった売上高は7000億円を超える規模まで成長。そして今回のVAIOの買収は、さらなる多角化に拍車をかけることになる。