今後の金価格の見通しは?

「政治のリスクそのものが金の値段をあげているのではなく、政治リスクが円安をまねき、それによって金が上がっているという構造です。政治の混乱の影響がまったくないとは言いませんが、それがメインの要因かと言われれば、そうではないと思います。これによって日本の金融市場が荒れてくれば、金の値上がりに直結するとは思うのですが」(小菅努氏、以下同)

ドル/円のチャートを見ると、開票前の金曜日、10月25日は1ドル152.266円で取引されていたが、選挙明けの月曜日、10月28日には一時、1ドル 153.8円を突破。選挙後に1円以上の円安となっている。

そしてこの先も引きつづき、円安による金の高騰が続く可能性があるという。

「自民党の連立交渉がうまくまとまらず長期化する見通しになってくると、国内の政治環境が不安定化しているとみなされ、海外投資家がどんどん円を売っていきますので、円安が続くことになります。

今年はフランスや南アフリカなどの各国では与党が負けて、その国の通貨がすごく急落することがありました。こういった影響は他のマーケットにも波及していきます。そのため、逆に自民党が早期にまとまって、政治がどんどん安定化してくると、 円安も止まる可能性はあります」

それでも今年は、アメリカの大統領選挙や、中東とウクライナ問題の影響もあり、金の値段が上がりやすい環境が続くという。金の投資家にとっては、夢のような1年となりそうだ。

写真/shutterstock
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取材・文/集英社オンライン編集部