選挙戦最終盤に報じられた2000万円問題の影響
「もはや焼け野原だ」
衆院選の結果を見て、自民党関係者は天を仰いだ。
裏金問題による逆風が全国各地を襲い、これまで自民党が勝ち続けてきた「常勝選挙区」でも落選が続出。
東京11区で9選を重ねてきた元文科大臣の下村博文氏は、投票を締め切った20時の開票率0%の時点で、出口調査の結果ですでに大差がついて落選が確実となる「ゼロ打ち」となり、裏金問題で非公認となった逆風の強さが浮き彫りになった。
同じく、五輪担当大臣や内閣府特命担当大臣(男女共同参画)などを歴任した丸川珠代氏も、参院議員から満を持して衆院選の東京7区に鞍替え出馬したが、「ゼロ打ち」で落選確実となり、裏金問題で比例復活が禁じられるなか、議員バッジを外すことを余儀なくされた。
衆院選では裏金問題が問われた議員46人のうち、半数以上にあたる28人が落選する事態となり、全国各地の「自民王国」を野党に明け渡す形となっている。
ただ、実は下村氏も丸川氏も選挙戦の中盤では立憲候補を相手に追い上げているという情報もあった。
自民党が10月16日から20日にかけて独自に実施した情勢調査によると、丸川氏は立憲の松尾明弘氏に対して、支持の差が1%未満にまで迫り、下村氏は立憲の阿久津幸彦氏に対してわずかに競り勝っているとされていた。
一時は接戦になるかもしれないとみられていたわけだが、そこから、なぜ「ゼロ打ち」落選という完敗にまで追いやられてしまったのか。
大手マスコミ記者は「最終盤に報じられた2000万円問題がかなり影響したようだ」と内幕を明かす。
10月23日に共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が、裏金問題で非公認となった議員が代表を務める政党支部にも自民党本部が2000万円を支給していたことをスクープし、ほかのテレビ・新聞メディアも追いかけて大問題となったが、この報道が情勢に大きな変化を与えたというのだ。
「期日前投票の出口調査の数字が報道翌日の24日から大きく変わっていった。それまでは与党が強かったような選挙区でも、野党の得票が急激に伸びていって、与党優勢の選挙区は次々と接戦に、接戦の選挙区は次々と与党劣勢にどんどんずれ込んでいった。
そんななか、投開票日前日には与党で過半数維持は絶望的という見方がマスコミの間で強くなっていた」(大手マスコミ記者)