「マナーが悪いというより、“慣れ”の問題」

Go Toトラベルの利用客によるバッドマナーについては、財団法人宿泊施設活性化機構(JALF)の事務局長を務める伊藤泰斗氏も同意見だ。

伊藤氏は「国から補助で費用としては安くなっている一方で、客層が変わり下がり、マナーが悪くなったという一面はある」と分析しつつ、“マナー”という尺度が千差万別だとして、線引きの難しさも口にしている。

「たとえば民泊では、帰るときに、使った食器を洗うルールになっている施設が多いんですが、洗わないのは圧倒的に日本人なんです。中国人を含め、外国人はほぼ洗っていきます。

でも、これらはマナーが悪いのではなく、“慣れ”の問題じゃないかと私は思っていて。日本人は、サービスにタダでアクセスできるのが当たり前だと思っているだけなんです。各々が常識だと思っていることに対して、どこから非常識かと決めるのは難しいんですよ」

髙部氏は「外国人観光客の場合は、部屋を汚したり、大声で騒いだりするケースが多い」と指摘(写真はイメージ)
髙部氏は「外国人観光客の場合は、部屋を汚したり、大声で騒いだりするケースが多い」と指摘(写真はイメージ)

宿泊現場で多くの問題を生み、Go Toトラベルならぬ、“Go Toトラブル”化を引き起こしていた当時の日本人観光客。

一方、その後の入国規制緩和や円安の影響などで激増した訪日外国人のマナーの実態はどうなのか。それについて、前出の髙部氏は「外国人も例外ではない」と語る。

「ドライヤーや電気ケトルなど、備品を片っ端から持って帰るというのが、一時期はありましたね。ただ日本人と違うのは、国に帰ってしまうと捕まえられなくて……。

でも、最近ではツアー会社も強く注意喚起してくれているので、少しずつ減ってきました。盗難が発覚したときもツアー会社の方に言って、持って帰った観光客に『あなたでしょ? 返して』と取り返してもらっています。

あとは、インバウンドの方々だと、大声で騒いだり、部屋を汚したりする客が多いですね。日本人の方はそんなに汚さないんですけど、海外の方は部屋で食い散らかしたり……。
壁なんかを汚されると、大変なことになっちゃいます。ガラが悪いというか、日本人にはないマナーの悪さっていうのはありますね」