「二重価格」が存在するのは世界の常識
ことの発端は、6月16日に姫路市で開催された国際会議「防災グローバルフォーラム」のシンポジウムでの清元市長の発言だ。
城を保存するための経費が年々増大していることから、入城料を「外国人観光客は30ドル(約4700円)くらい、市民は5ドル(約790円)くらい」と価格差をつける意向について初めて言及した。
その翌日に同市内で行われた記者会見では、「木造建造物をたくさんの人が上ると木がすり減り、壊れやすくなる。木造のメインタワーに対するオーバーツーリズムの問題がある。(昨日の会議で)ディスカッションする中で、30ドルくらいが世界の標準ですねという話になったので」と述べた。
実現すれば、現在は国籍問わず18歳以上の入城料は一律1000円のところ、外国人観光客のみ4倍以上の価格に値上げされることになる。
これに対し、経済評論家の渡邉哲也氏は「むしろこれまでどこの自治体もやらなかったのか不思議なくらい」と言う。
「世界では二重価格が存在するのは常識ですし、日本は外国人観光客を優遇しすぎな面があります。カンボジアのアンコールワットやインドのタージマハル、エジプトのピラミッドなど世界的観光地には二重価格が存在します。
また、市長が仰っていた『世界の標準は30ドル』という発言は、ニューヨークの自由の女神の入場料が25ドル、エンパイアステートビル展望台が大人が約46ドルといった価格を参考にしているのではないでしょうか」
渡邉氏は「二重価格政策は当然のこととして、観光客のインフラなども規制やコントロールが必要なのでは」とも述べた。
「観光地と大都市は、完全なオーバーツーリズム状態にあります。京都など一部の都市では、大きな荷物を持って移動する観光客が路線バスを占拠し、地元民の通勤や通学にも多大な影響が出ています。
富士山エリアへのアクセスに欠かせないJR・富士急行直通特急『富士回遊』も、観光客の増加によって今年3月に増発されました。
また、日本人が出張や国内旅行するときに宿泊施設の予約が取れないなどの事態も起こっており、すでに自国民の生活が脅かされている状況にあると言えるのではないでしょうか」