「自主退社というのは退職金が目当てじゃないか?」
質疑応答では男性保護者から、事件発生から2ヶ月後に説明会開催という遅すぎるタイミングの指摘があり、これについて社長は「当社の調査では白黒をつけられない状況で警察の捜査が始まり、以降は公表を避けるよう(警察から)指示があった。逮捕に至ったことでその制限がなくなり、説明会の場を設定する流れになった」と回答。
しかし、その説明会の通知も逮捕から1週間後の10月15日だったといい、参加者が「ほとんどの保護者は報道内容を見て、その間にもかなり不信感を募らせていたはず。個別に電話などで連絡して事情を伝えるようなことがなぜできなかったのか」と詰問する場面もあった。
また、再発防止策にあげた研修強化の内容説明を求められた社長はこんな風に答えたという。
「当社には約2000人の従業員がいて、そのうちの50人程度が男性の保育士。男女を分けるのは本望ではないが、こういう事件が起こった以上は男性保育士専用の研修強化をしていきたい。女性の保育士に関しての研修も継続的にやっていくし、本来は『死角になるとかならないとか』の話ではない」
山城容疑者は2019年からB園で勤務しており、これまでにも同様の犯罪を起こしていた可能性はありうる。また、女児に対してもわいせつ行為をしていた懸念を表明した保護者に対し、出席した園長はこう答えたという。
「山城容疑者は男の子が好きなので」
B園は事件発生を認知し、警視庁が捜査を開始したにもかかわらず山城容疑者を解雇せずに本人からの辞職願を受け入れた。
これについて男性保護者の一人が「自主退社というのは退職金が目当てじゃないかと思ってるんですが? 自己退社なら退職金が出て、懲戒解雇なら退職金が出ないっていう理解であっていますか?」と問いただすと、C社の担当者は「そのようになってしまいます」と答えたという。
また、事件を起こした運営者として、責任者の処分などについて検討しているかを問われた社長は、「われわれとしては安定した園づくりが最良の責務を果たすことと考えており、誰かを処罰することは現時点で考えていない」と首を傾げながら答え、「そういう企業風土が問題なんじゃないのか」と逆ねじを食らい、頭を下げたという。
二度とこのような犯罪が起こらないよう、運営企業の体質を改めて見直す必要があるのではないか。
#3に続く
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班