この20年、プロ野球ファンは“幸せ”になったか?

――この20年間、12球団のファンクラブの変遷を自ら体感されて、見えてきたことはありますか?

運営面はいい意味でシステマティックになりましたね。8、9月には来季ファンクラブの概要が発表されて募集を開始、春のキャンプごろに特典グッズが届き始めて、開幕前には万全……という効率的組織運営がなされるようになりました。

ひと昔前は、会員証が紙製の球団があったり、特典グッズにしても当初は貧相なものを一方的に押しつけている印象でしたが、年を追うごとにクオリティが目に見えてよくなっていったのは大きな変化だと思います。

衣類から食器、寝床に至るまで、12球団のファンクラブグッズに囲まれて生活している長谷川氏
衣類から食器、寝床に至るまで、12球団のファンクラブグッズに囲まれて生活している長谷川氏

――全球団のファンクラブに毎年、入会し続けることで、大変なことはありますか?

毎年、各球団から特典で無料チケットを複数枚いただけるのですが、これを全部、消費しないと罪悪感があって…。だから、1枚3~4000円分のチケット特典のために新幹線、飛行機、宿泊代をかけて日本各地へ遠征に行きます。この出費だけで年間数十万はかかってます。

――株主優待券を使うことに命を懸けている桐谷広人さんみたいですね。

僕は神宮球場で行われるヤクルト戦は基本的にすべて現地観戦しているので、チャンスはヤクルトがビジターに出ているときしかない。なので毎年、NPBから年間の試合日程が発表されたらすぐにカレンダーとにらめっこして、遠征をスケジューリングするのにひと苦労です。

例えばソフトバンクファンクラブ。僕は今年、10万4900円のプレミアム会員なので、無料チケットが10枚ももらえました。でも10日間も福岡へ行くのは大変だから、3連戦でそれぞれ2枚ずつ交換して、福岡の友人などを招待しました。これで1回の遠征でチケットを6枚も消費できます(ドヤ顔)。

――いったい何と戦ってるんでしょうか……。

この「無料チケット特典消費問題」は“トゥエルバーあるある”なので、地方の球場へ行くと、よくトゥエルバーにバッタリ会いますよ。「やっぱり君も来てたのか! じゃあ試合後飲みに行こうか」って親交を深めるんです。

――「トゥエルバー」って何ですか?

あ、失礼しました。我々の界隈では12球団すべてのファンクラブに入っている人のことを「トゥエルバー」と呼んでいるんです。僕もいちいち「12球団すべてのファンクラブに…」と名乗るのは面倒くさいので、ぜひともこの言葉をもっと浸透させたいですね。