わずか1年で閉店となったマッスルパーク
レラを開発したのはアメリカの不動産投資会社ラサール・インベストメント・マネージメントだ。
投資会社の場合、建物を所有して運営は外部に委託するのが一般的だが、ラサールは施設運営に積極的に関わってきた。2009年には西武プロパティーズ(現:西武リアルティソリューションズ)と商業施設企画のプロッドと委託契約を締結している。
2社と協業体制に入ったのは、三井の北海道進出に備えてのことだろう。西武プロパティーズはリゾート型ショッピングモールの先駆けである「軽井沢・プリンスショッピングプラザ」を成功させた実績もあった。
しかし、契約締結後から敗色は濃くなり始める。
それを象徴するのが新設した「千歳マッスルパーク」だ。3期拡張工事で2010年にオープンしたが、わずか1年ほどで閉鎖された。
このアトラクションは、TBSの人気番組「SASUKE」などの企画制作をしていた樋口潮氏が代表を務めるモンスター・ナインが運営していたもの。会社は2011年11月に破産手続きを開始している。
マッスルパークは「SASUKE」にチャレンジできる、日本でも数少ないスポーツテーマパークだ。しかし、料金とクリアする難易度が高かったために集客に苦戦。短期間での営業終了となっている。その後、「キッズUSランドレラ店」として再オープンしたが、アトラクションの一部は閉鎖されたままだった。大規模な一区画を使い切ることなく終えてしまったのだ。
集客力を高めるための増床工事が欠かせないビジネスモデル
2023年6月には八ヶ岳リゾートアウトレットを運営する八ヶ岳モールマネージメントが事業を停止して関係者を驚かせた。
この会社は2006年7月に開業した茨城県初のアウトレットモールである大洗リゾートアウトレットの運営も行っていた。しかし、2009年に三菱地所があみプレミアム・アウトレットを出店し、こちらも千歳アウトレットモール・レラ同様に客足を奪われた形になった。
アウトレットモールは、集客力を高めるために絶えず増床工事を繰り返す必要がある。業績のよい施設に共通する特徴だ。そのため、資本力の弱い会社が運営するアウトレットモールの集客力が落ちると、リニューアル工事ができずに慢性的な売上減に見舞われるようになる。そこにコロナ禍が重なればひとたまりもない。
今後ますます、大型の商業施設は資本力が十分な大手2強の寡占化が進みそうだ。
取材・文/不破聡 サムネイル/Shutterstock