破産すればカード会社にも甚大な被害が…
先日、「週刊文春」が、大手脱毛サロン「ミュゼプラチナム」の全取締役が2月14日に解任されたことを報じた。2024年12月には当時の社長だった三原孔明氏が東京商工リサーチの取材に応じており、問題とされていた給料の支払い遅延は事実であると認めつつも、インタビューでは資金繰りは回復しており、反転攻勢を目指すと意気込みを語っていた。
三原氏によると、過去の運営会社から株式分割によって「MPH」を設立。分割前の法人が残した社会保険料の滞納については、社会保険庁と見解に相違があったという。MPH側は連帯債務を負わない方法で会社分割をしたと認識していたが、社会保険庁はそうではないという意見だった。
信販会社やクレジット会社の口座に差押えが入り、資金繰りが悪化。支払いの準備はできていたものの、昨年後半に船井電機に関する一連の報道やSNSで誤情報が広がったことを受け、予定していた出資者からの入金が一時滞った。
三原氏はミュゼの運営には〈毎月最低でも15億円くらいの資金が必要であり、12月の資金調達はクリア。グローバルブリッジファンド合同会社が再生支援に入り、資金を調達している〉と説明していた。
再建に向けて前向きに進んでいるように見えたが、肝心の三原氏が解任されてしまったというわけだ。再生の道が閉ざされてしまった可能性もあるが、ミュゼが潰れると困る関係者が多いため、簡単に破産申請はできないだろう。
公式ホームぺージによると、ミュゼの会員は430万人以上。毎月1万5000人の新規会員を獲得しているという。一般的な全身脱毛コースは2万2000円だが、実際は数十万円に及ぶケースが多い。ほとんどが前払いで支払っているため、このままだと数百万人の会員がサービスを受けられずに漂流することにもなりかねないのだ。
しかも、支払いにはローンやクレジットカードが使われていることも多く、脱毛サロンが倒産して破産手続きが開始された場合、クレジットカードの利用者は支払いの停止を求める抗弁権を主張することができる。そうなると、カード会社にも影響が及ぶのだ。
また、サロン数も全国169店舗と数が多い。従業員数は3360人。もし破産すれば、大量の失業者が発生することにもなる。多くは女性であり、特殊な専門業種のために受け皿もそう多くないはずだ。