楽しんでいる人の顔を見て楽しめない自分たちがいた
――15~20年目ぐらいの頃は、夏のTUBEに抵抗して足掻いていたわけですね。
そうですね。足掻き続けてたと思いますよ。
――バンドの危機というのは、TUBEを続けることに限界を感じたような感覚だったんですか?
楽しんでいる人の顔を見て、楽しめない自分たちが現れてきたんです。だから、ライブとか曲で、30歳過ぎた大人としてのメッセージを散りばめていくわけですよ。みんな、聴いてはくれるんだけど、「それを聴きに来たんじゃないんだけどな」みたいな反応もあって。
それこそ夏バンド!みたいなイメージがついてきた当初、秋冬に、春夏行かないようなところも含めて全国ツアーに行くと、地元のホテルとかスーパーの方に「大変ねぇ。冬にこんなところまで来なきゃいけないのね」とか言われて。そういう理由で来てるわけじゃないのにって思いながら、説明するのめんどくさいから、ただお菓子を買って帰ろうとすると、小声で、「お金はいいから」って(笑)。
――え! 出稼ぎに来ていると思われたわけですか(笑)。
うん。先入観っていうのは怖いね。
――TUBEファンは、TUBEのことを夏バンドだと思っていないと思うんですけど、そこと世間のイメージにギャップがあって、それに苦しめられたわけですね。
そう。流行りの破れてるジーパンを履いてたら、「新しいの買えないんだ」と思われたりしてたな。メンバーの親も周りからそう言われるのか、ヴィンテージの古着の衣装を縫い直してくれて(笑)。裏布あてて、アップリケみたいなの貼っちゃったりして、高い古着の価値が台なしですよ(笑)。
セーターを着てるだけで、街で「Tシャツじゃないの?」ってからまれたりもしたし、肩身が狭かったよね。そういうことを経験した若い頃は、「なにくそ、音楽で認めさせてやる!」みたいな気持ちがありましたね。