「これじゃ足りん。4億にせえ」と副知事
こうした“前(マエ)”がある知事だけに、Aさんが何かを「認めた」と主張しても報道陣はもはや信用せず、8月7日の会見では根拠となるAさんの供述内容の開示を求める声が次々と上がったが、知事は応じていない。
「Aさんは生前、疑惑には誤ったものが含まれている可能性があることは認めたうえで県当局に『きちんと精査して』と申し入れています。
告発にあるパワハラやたかりには実体があり、Aさんが自分の告発文書を“噂話を集めた”と貶めるはずがない。そもそもAさんは少なくとも3月末まで県からの聴取を受けていないと言っていました。知事の発言は今後、信用性を問われることになるでしょう」(県関係者)
こうした状況で、優勝祝賀パレード疑惑との関連が指摘される、県の「中小企業経営改善・成長力強化支援事業」の予算増額の経緯を示した文書の存在が明らかになった。
同事業は金融機関が無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)を受けた中小事業者を支援すれば、1件当たり最高10万円を金融機関に支給するというものだ。
昨年秋、所管の産業労働部 地域経済課と財政課は補正予算の算定で、総計1000の事業者に金融機関が支援をすることを見込み、1件当たり10万円ずつ、計1億円を計上する計画を立てた。そこに片山副知事が「これじゃ足りん。4億にせえ」と増額を指示したことが関係者の証言でわかっている。(♯5)
この過程で斎藤知事も野放図な支出拡大を指示していたことが発覚した。内部文書「令和5年12月補正予算 口頭指示メモ」には次のように書かれている。
〇課長査定時点における片山副知事からの指示
令和5年度12月補正予算項目を片山副知事に報告に行った際、片山副知事から財政課へ、事業廃止に向けて事業をソフトランディングできるよう、依然として金融機関等のニーズが高いことをふまえ、臨時交付金の活用を前提に、前年度補正額の1/2の4億円程度で事業設計するよう口頭で指示。その後、指示内容を財政課から産業労働部へ口頭で伝達。
〇知事査定における指示
知事査定(R5.11.21)において、全体をまるく4億円で計上するよう知事から指示。