卓球強豪国の座と卓球人気を守り続けるためにも…

「正直、卓球部が暗いというイメージは、タモリさんや稲中卓球部のせいとはまったく思いません。確かに卓球は他のスポーツに比べると小さいコートで動いていて、明るいか暗いかって言われると、別にそんなに明るくはないと思っていますが、でも逆にそれが卓球のいいところではあると思っています。また、卓球はやる側と見る側のギャップがすごいです。

やっぱりまず最初に、ボールの回転のすごさに驚くと思いますし、フットワークはめちゃめちゃきつい。技の種類、用具の種類もたくさんあって、実際やってみると本当に奥が深いスポーツです。だからやってない人に暗いって思われてもある意味仕方ないんじゃないかなと思いつつ、卓球やってる人からすると、実際やるとめちゃめちゃおもしろいんだぞって思いますね」

さらに中西さんは続ける。

「また競技として上を目指すだけではなく、シンプルに趣味として楽しむのもよし、温泉卓球や施設のレクレーションで盛り上がるのもよし、用具を追求するもよし、観戦するのもよし、健康増進としてやるのもよし...。このようにいろんな目的で卓球を楽しむことができます。取りかかるハードルが低いスポーツであることも魅力です。

偏見は正直まだあると思いますが、昨今の人気の高まりで変化は感じています。7年間YouTubeを運営していて、最初に比べると『根暗』『地味』とかコメントされるのは確実に少なくなっている実感はあります」(中西さん)

パリ五輪女子ダブルスに出場した早田ひな(左)と平野美宇 写真/JMPA
パリ五輪女子ダブルスに出場した早田ひな(左)と平野美宇 写真/JMPA

競技そのものの人気は確実に高まっている卓球。パリ五輪での卓球代表の活躍と躍進で熱狂さめやらぬ中で、中西さんはさらにいう。

「暗いと思われてしまう裏側には数えきれないおもしろさが詰まっている競技であり、僕自身も卓球に人生を救われた経験もあるので、卓球インフルエンサーとしては『明るい・暗い』の部分を変えるというよりも『おもしろい』という部分を発信し続けて、卓球界全体を底上げしていきたいと考えています。まだまだ課題はたくさんありますが、偏見を持つ人が嫉妬したくなるぐらい盛り上げていきたいですね」

実際、今回のパリ五輪中、テレビで卓球の試合を見る視聴者からSNSで〈卓球の観戦がこんなに面白いとは思わなかった。スピード感と技術に驚かされる。次も必ず観る!〉〈卓球オリンピック、こんなに熱くさせてくれて、本当にありがとうございます!〉〈卓球ってすごい熱いスポーツでびっくり、いままで偏見もっててすみません!〉など、卓球に熱くなる声が続々とあがっていた。

かつて「根暗」といわれたような卓球のイメージは近年の卓球界の躍進とともに確実に消えつつある。卓球強豪国の座と卓球人気を守り続けるためにも、もっともっと卓球界全体が輝いていってほしい。

取材・文/集英社オンライン編集部