前評判の低かったチームが大躍進
今回のチームの前評判がよくなかった理由はハッキリある。それは、メンバー招集が思うようにいかなかったことだ。五輪ではメンバー招集に強制力がないため、所属するクラブが難色を示せば、その選手を呼ぶことはできない。
そのため、本来ならこの世代の中心選手となるレアル・ソシエダ(スペイン)のMF久保建英は不出場。ほかにも海外組のブレンビー(デンマーク)のMF鈴木唯人、先日、パルマ(イタリア)に移籍したGK鈴木彩艶らの招集もかなわなかった。
さらに、パリ五輪アジア最終予選でチームの主軸として活躍していたギョズテペSK(トルコ)のMF松木玖生もまさかの選外に。松木はメンバー発表当時、FC東京に所属していたが、7月30日にイングランド・プレミアリーグのサウサンプトンに移籍(その後、ギョズテペSKにレンタル移籍)が発表された。水面下で海外移籍の話が進んでいたため、招集することができなかったと言われている。
さらに、こうして主軸を欠いているものの、オーバーエイジ枠(以下、OA)を使用していない。今大会の五輪出場チームの中で、日本は唯一のOAナシのチームとなり、そのことも期待値を下げることにつながった。
しかし、いざ大会が始まると、初戦で南米予選1位通過のパラグアイ代表に5-0で快勝。2戦目のマリ代表には終始押され気味でヒヤヒヤする展開が続いたものの、終了間際には相手のPK失敗もあって1-0で辛勝。
すでにグループリーグ突破が決まった中で迎えた3戦目のイスラエル代表との試合では、後半アディッショナルタイム(AT)にFW細谷真大がクロスを流し込んで劇的な決勝ゴールを決めて1-0で勝利。3戦全勝で首位通過を果たした。
なぜこのパリ五輪日本代表は、前評判を覆してここまでの快進撃ができているのだろうか。元サッカー日本代表の橋本英郎氏は、「OAを使わなかったことが逆によかった」という。