保険請求に関して議員連盟の回答は…?
回答は、歯科技工士の役割の重要性を強調し、高齢化を大きな問題と認識しており「国民生活を支える歯科技工士を確保するためには、その労働環境等の改善が必要不可欠であると考えています」と表明。そのためさまざまな問題に取り組んできた、と説明した。
その上で①と③の質問を念頭に、
「労働環境等の改善のために、いわゆる『7:3』の割合で技術料を配分するとの指針をより明確にするために、平成 30 年において『材料費を除いた部分について、7:3 の割合で技術料を配分する』との疑義照会の結果が示されるなど、より一層、技術料を明確にし、歯科技工士が適正な対価を受け取ることができるように努めて参りました。
また、診療報酬改定時には歯科医療費の確保に向けて働きかけを行い、令和 6 年度診療報酬改定においては、歯科技工所で従事する者の賃上げ等の観点から、歯科初診料、再診料の引き上げだけでなく、歯科補綴(ほてつ)物に対する診療報酬の引き上げが行われました。診療報酬改定の影響の調査の中で、歯科技工所における賃上げの状況等を把握する調査も行われる予定と聞いています」
と表明した。一方、④に関しては、
「歯科技工物は、歯科技工士法に定める歯科技工指示書によって作成されており、歯科技工物の作成にあたっては作成管理及び品質管理に関する文書(歯科技工録)を作成することが求められています。また、2023 年 12 月には、都道府県に対し、取引先の歯科技工所の開設届出の有無を歯科医療機関が的確に識別できるよう、開設届出を行った歯科技工所に管理番号を付与してホームページに一覧として掲載するようお願いしました。
こうした取組を通じて、国民の不安等に応え、品質の良い歯科技工物を国民に提供するためにトレーサビリティの強化を促進して参りたいと思います」
として現行の制度を維持するのが妥当との考えを示している。
回答はさらに、
「歯科技工や歯科技工士に関する課題は歯科全体の問題として考えることが必要であり、歯科医師の皆様ともよく相談しつつ、現場の声に耳を傾けて課題解決に取り組むことが重要です。また、近年、歯科医療においても広がっているデジタル技術等の新たな技術導入を後押しすることなども含め、歯科技工士の業務の改善に向けたあり方を検討することも必要だと考えています。
いずれにせよ、歯科技工士は国民の健康で文化的な生活を守るための重要な存在であるとの認識のもと、国民に必要なサービスを提供し続けることができるように、現場の皆様の声を大切に、労働環境等の改善を含めた歯科技工士の方々が働き続けることができる環境の整備に向けて、引き続き検討して参る所存です」
と表明している。
しかし、上述のように、保険請求を直接行えるよう制度を改めてほしい、という最も多い要望に関する言及はなかった。
「歯科医が保険請求をするというのが(歯科医には)一番おいしいところですね。それが進んでいく先に歯科技工士がどんどん離職していっている。回り回って一番の被害者は患者さんということになる」
都内のベテラン歯科技工士が指摘する問題の核心には、いまだに手がつけられる気配はない。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班