専門医は「HIV感染の拡大」を危惧
誰からうつされたかわからない––––––非常に恐ろしいケースだが、性感染症専門クリニックである「銀座ヒカリクリニック」の剣木憲文院長は、「女性の風俗従事者に性感染症が多い」と説明する。
「当院には20代から70代まで、さまざまな患者さんがいらっしゃいますが、その半分近くが風俗従事者と、その利用者です。それ以外は、マッチングアプリやSNSで出会った相手と性交渉をしてうつった、といったケースが多いです。
症例として特に多いのは、やはり梅毒ですね。次いで『尖圭コンジローマ』や『性器ヘルペス』にかかる方も多いです。また、それらが併発してしまった方などもいらっしゃいます。
女性の風俗従事者は不特定多数の男性を相手にするので、『誰からうつされたかわからない』という方は多いですね」
冒頭で触れたように、大久保公園周辺で行われる路上売春は現在、昨年のピーク時と同等の水準まで戻ってきている。また、先日報じたように、立ちんぼが外国人観光客に買われるケースも増えているという。
こうした現状に対して、剣木院長は次のように危惧する。
「私が危惧しているのは、かつての梅毒のようにHIV(ヒト免疫不全ウイルス)が蔓延してしまうケースです。今後さらに外国人観光客が増えて、その中にHIV陽性者がいたとして、コンドームなどを使用せずに性交渉をする機会が増えれば、当然ながらHIV感染の確率は高まります」
剣木先生は性感染症に関して「誰もが“うつされた”と思い込むが、自分が“うつす”可能性もある。そうならないために、日頃から一人一人が性病検査への意識を高めることが大事だ」と指摘する。
前出の平澤精一総院長によれば「行政からも新宿に集まる家出少女らへの診察の補助を検討する声が上がっている」という。警察による取締強化を願いつつ、性感染症拡大は対岸の火事ではないことを心に留めておきたい。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班