カメムシピークが今年は2ヶ月以上も早い

高知県では果樹カメムシ類のフェロモントラップ(メスのフェロモンの匂いでオスを引き寄せ、捕獲する仕掛け)で、平年の50倍の誘殺が確認されているという。

他の地域でも平年をはるかに上回るカメムシ被害が発生し、農家を悩ませている。

「今日も近所の農家の寄り合いではカメムシの話題で持ちきりでした。今のところ、大きな被害に遭った農家はいなかったのですが、時期的にこれからカメムシがもっと増えてくる可能性があるので、しっかりと対策を取る必要があるという話をしました。うちはビワに被せる袋を二重にして害虫対策をしています」(千葉県のビワ農家)

酒米とタマネギの生産量が全国1位で、葉物野菜の生産量も全国有数という農業県の兵庫県でも、被害は深刻だ。県立農林水産技術総合センターの病害虫部は今年の多発状況をこう分析する。

フェロモントラップで誘殺した大量のカメムシ(提供/高知県病害虫防除所)
フェロモントラップで誘殺した大量のカメムシ(提供/高知県病害虫防除所)

「おそらく、昨年の秋口に大量発生したカメムシが越冬をして、最近また活動的になっているのだと思います。

兵庫県では、モモやナシなど収穫時期が早い農家の方はとくに対策をするよう呼びかけています。

実際にモモ農家やナシ農家の方から『カメムシにやられて実が落ちてしまった』という話も聞いています。あと、これからですと、カメムシがミカンなどの柑橘類の花の蜜を吸い、実がならなくなる被害も予想されます」

イチゴのブランド産地として知られ、カメムシ被害の多いイチジクやカキの一大産地でもある福岡県にとっても、果樹カメムシ類は天敵だ。

「果樹カメムシ類は例年6~7月に最も多く発生します。ところが、今年のピークは4月中頃で、いまだに恐ろしいほどたくさんの数のカメムシが発生しています。ここ10年でこんなに早い時期にカメムシが大量に出てきたことはなかったと思います。

作物につくカメムシ
作物につくカメムシ
すべての画像を見る

カメムシは長距離を飛ぶことができるタイプの虫なので、農園で見た際はすぐに農薬をまくように呼びかけています。また、農薬はふだんから2~3週間に1回くらいのペースでまくことをおすすめしています」(福岡県病害虫防除所)

果樹カメムシが落ち着いたら、今年も真夏には斑点米カメムシが大発生してコメの獲れ高にも影響するかもしれない。来年こそは、カメムシの原稿を書かなくてもいい一年になりますように。

※「集英社オンライン」では、自然災害や動植物被害について取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

X(Twitter)
@shuon_news  

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班