エチオピアで一番優しいのはタクシーの運転手さんだった⁉
先日、トランジットでエチオピアのアジスアベバに寄った。途上国の大都市ではロクな記憶がないのだが、トラブルを最大限回避すべく、ここでもライドシェアアプリを入れて現地に赴いた。
エチオピアは決済システムが不十分で、このライドシェアアプリも、目的地を入力すると乗る前に金額が表示され、それで納得したドライバーが迎えに来て、降りるときにキャッシュで払うという仕組みであった。これを利用すればアムハラ語がわからなくても問題なく乗れるので、フル活用することになった。
ただしこのとき、私は結構やらかしてしまって、似た名前の違うホテルを地図上でタップしてしまっていたようだ。地図アプリの上では誤りがないのだが、周りの風景がどんどんさびれていく。これは何か違うと車を止めてもらい、ドライバーにホテルの予約メールを見せた。
彼は英語が読めないようだった。しかし、ホテルの電話番号らしきものを見つけるとすぐさま電話をし、無事に正しい目的地へと私を送り届けてくれた。
さて、支払いの段になって、どうすればよいのか悩み、英語が話せるホテルのドアマンに間に入ってもらって聞いてもらった。公式にはアプリに表示された料金以外のカネを受け取ってはいけないようで、「あとはチップで」という。それで5ドルを追加で渡そうとするとそこには満面の笑みがあった。
ホテルで、「タクシーの運転手はみんな親切だった」という話をしてみたところ、「アプリの評価ランキングが配車の優先順位に影響するので、いまはみんな親切」ということだった。
私はその後、ヨハネスブルクで開催された観光とITの学会にでたのだが、ライドシェアアプリについては、日本のように解禁するかどうかというレベルではなく、運転手と客のマッチングを含め、よりよいサービスをいかに提供するかという議論が中心であった。
客もまた運転手に評価される仕組みもあるようで、「運転手に嫌われる客は、タクシーが来ないという状況もありうる」という説明は、運転手と客の関係を公平に保つという趣旨で大きくうなずかされた。
ライドシェアアプリでは、客もまた評価され、選ばれる立場に立つわけで、妙なクレーマーはタクシーに乗れず、自分で自分の首を絞めることになるのである。