#後編

4月1日以降、時間外労働の上限が年960時間に制限されることで、日本の物流に混乱が起きることが懸念されている「物流の2024年問題」。4月1日を前にして、現場ではなにかしらの対策が講じられているのだろうか。

DXが進めばいいという話ではない

――トラックドライバーの働き方改革関連法案の発動(4月1日)が、迫ってきましたが、現場で働くドライバーの皆さんに動揺はありますか。

長谷川さん(以下同) ドライバー仲間とは「こうなったらいいよね」という話しかしません。実際に始まってみないとわからないところが多くて。

インタビューに応じてくれた長谷川春菜さん
インタビューに応じてくれた長谷川春菜さん
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――具体的な対策が進んでいる部分はあるのでしょうか?

荷積み、荷下ろしの効率化をはかるとか、対策を講じている荷主さんもいますが、全体でみるとまだごくわずかです。

高速料金を負担してくれるのか。運賃アップに応じてくれるのか。現状だらだら待たされる荷待ち時間の解消は本当にできるのか。すべて荷主さん側の裁量なので、そこがわからないと、「ドライバーにどんな影響が出ますか?」と聞かれても答えられないんです。

いまあげた点が改善されないと働きにくくなることは確かですね。

――テレビなどではグラフを示して荷積み・荷下ろしの時間短縮が進んでいると伝えているニュースもみかけますが、実際には?

誰に何をどうやって聞いたらあのグラフになるのか、不思議な気持ちになります(笑)。いまでもドライバーが荷物の手積み・手下ろしをしなきゃいけない現場がたくさんありますから。

――物流業界全体でDX化が進んで手積み・手下ろしがなくなると効率化は図れるのでしょうか?

フォークリフトでパレットを積むほうが時間は短縮できますが、手積みのほうがきれいに多くの荷物を積めるので、1回の輸送で運べる荷物の量は違ってきますね。

ドライバーの中には手積みの美しさ、芸術的な積み方をすることに命をかけているという人もいたりして、一概に機械化が進めばいいとはいえないんですよ。トラックドライバーが働き方改革の恩恵を受けることができるのは、まだ先だと感じています。