“青柳自主トレ門下生”岡留がブレイクの予感

もうひとつ、青柳自主トレの特徴がある。青柳が帝京大学時代から師事し、自身の体を知り尽くしているトレーナー内田幸一氏の存在だ。青柳の体の動きや考え方に合わせて、オーダーメイドで対応してくれるという。

昨季は体が思うように動かなくなり、可動域が狭まっていたが、合同自主トレでの入念なウォーミングアップによって復調。その上でビルドアップに成功し、体重は5キロ以上も増加した。

もともと精悍な体つきの青柳だが、これまでよりもひと回りほど大きくなり、球速もアップ。今季はすべての球種を思い通りに操れており、昨季は乱れていた制球も安定。「浮き上がるようなストレートの球威にも今季は期待してほしい」と自信をのぞかせる。

また、昨季フル稼働した村上はその疲労を感じさせず、今季もキレや強度を維持できている。抜群の制球力は健在で、“2年目のジンクス”の心配は無用。完璧なフォームから繰り出される切れ味鋭いボールを、今季も披露してくれるだろう。

青柳晃洋Instagramより
青柳晃洋Instagramより

そして、“青柳自主トレ門下生”で今季大注目なのが岡留英貴だ。青柳と村上同様、ドラフト5位入団の大卒3年目の右腕は身体能力は抜群。「なんでもできる」と青柳が絶賛するほどだ。

昨季はマスターできなかった「足をついてから投げるタイミング」を今季は掴みつつあり、制球が安定。浮き上がるような軌道のストレートは力まずに投げても最速152キロを計測し、フォークやツーシームも鋭く、スライダーもいい。

岡田彰布監督も「1年であんだけ変わるものなんやな」と高く評価し、春季キャンプの投手MVPに選ばれた。昨季ブレイクしたリリーフ左腕、桐敷拓馬のように飛躍する可能性が高く、最終的には“右の勝ちパターン”にまで食い込んでくるかもしれない。

他球団では、生田目翼(日本ハム)に注目だ。青柳や岡留同様、アングルの低いフォームで球威があるだけに、マインドや投球技術を覚えることでさらに伸びていく可能性もある。

いよいよ新シーズンが幕を開けるが、今季は“青柳自主トレ門下生”の活躍から目が離せないだけでなく、青柳自身も防御率4点台に終わった昨季の悔しさを払拭する一年になるだろう。まずは、昨季の日本シリーズ第7戦からの“連投”となる今季開幕戦で、“虎のエース”が捲土重来を期す。


取材・文/お股ニキ 撮影/小池義弘