「僕みたいな変則投法の言うことなんて誰も聞かないですよ」

合同自主トレでは、技術やフィジカルの向上はもちろん、メンタル面の強化にも重点を置く。青柳自身がドラフト5位からの“たたき上げエース”としてブレイクした経験を活かし、参加する選手たちにそのノウハウを惜しみなく伝授している。

青柳の投球理論の根幹にあるのは、「とにかく力まず、楽にボールに力を伝えること」と、「上半身を開かず、足を着いてから投げること」のふたつの極意だ。

シンプルだが、ピッチングの真髄であり、核心をついている。足を着いてから地面の力を受け、上半身は開かずに捻転差を生み出すことにより、ボールに最大限の力を伝えつつ、ケガのリスクを減らした、安定感のある投球が可能になる。

体への負担も軽減できるうえに、力いっぱい投げる必要がなくなるので、たとえ調子を落としてもなんとかなるのだ。かつて制球に苦しんでいた青柳も、8割の力で投げる脱力投法を会得してからはコントロールが安定した。

青柳晃洋Instagramより
青柳晃洋Instagramより

その一方、選手それぞれの投げ方を尊重し、特定のフォームを強要することはしない。


「僕みたいな変則投法の言うことなんて、誰も聞かないですよ」

青柳はそうやって謙遜しながらも、後輩たちのピッチングを真摯に見守る。「足を着いてから投げているか」「体重移動の方向がしっかりとホームに向かっているか」という2点だけはしっかりと確認して伝えているという。