ギターがあるからどこへでも行ける
――MIYAVIさんが難民キャンプで子どもたちと一緒に歌ったり、サッカーをしていることと、音楽活動の根本は同じなんですね。
そんな偉そうなことは言えないですけど、観る人、聴く人たちにとって新しい世界、体験でありたいですよね。難民キャンプで子どもたちが感じた「Wow!」と同じ「Wow!」を僕は世界中どこででも提供してるつもりだし、その人が驚いた時や感動した時の混ざり気のない感覚には希望しかないから。それをステージのパフォーマンスや楽曲を通じて伝えていきたいです。
――MIYAVIさん、いろいろな方向で幅広く活動をされていますけど、その原動力は何なんでしょうか?
……まあ、大阪人やからじゃないですか(笑)。
――(笑)。
それが僕の属性で、得意だからやっているだけであって。もちろん、得意じゃないことを得意にもしてきました。歌だって得意じゃなかったから。デビューした頃、デタラメな英語で歌ってた僕が、今はグラミー獲った人たちと一緒に楽曲作って、「いいボーカルだった」って言ってもらうこともある。これは僕自身の自信にもなってるし、応援してくる人たちにとっても自分を通じて人間の可能性を提示してる部分もあると思う。ちょっと大袈裟かもしれないけど。得手不得手がある中で、それぞれのテリトリーで自分なりにやっていく。それに尽きると思います。
――最新作では普遍的なテーマに向き合って、今後、MIYAVIさんは何を伝えていくのか気になります。
それは考えてないですね(笑)。でも、ギターと歌だけで作るとか、それこそオーケストラとか、違う形態での作品作りもやってみたいです。今回、いろんな人とコライトしてますけど、これって実はすごい危険なんですよ。結果的にしっちゃかめっちゃかになりかねないから。でも、それで自分が浮き彫りになるし、誰とやっても自分自身でいられる自信があるからやれる。やっぱりギターの存在は大きいですね。ギターがあるからどこへでも行けるし、歌も歌える。自分でギターを弾かない曲なんて、今までなかったですから。やっぱり自分が信じられるものがあるのは強いですよね。
取材・文/川辺美希 撮影/村井香
ジャケット/ヴェルサーチェ ジャパン
〈問い合わせ先〉www.versace.jp
スタイリング/櫻井賢之[casico]