初めての難民キャンプの帰り道、ずっと泣いていた

――そういう活動をやらなければいけないと思った理由はなんだったんでしょうか?

今はソーシャルメディアが発達して、地球の裏側で起きた出来事が瞬時にわかります。だけど、リアルに今、世界のどこかで紛争が起きて誰かが犠牲になっている中で、僕たちは音楽をやって、楽しんだりしてる。これも事実であって。じゃあその中で、「どうやって向き合っていくの?」っていうことだと思うんですよ。

誰だって、パーティしているときに難民や紛争の話なんて聞きたくないわけじゃないですか。それは間違ってないと思うんですよね。だって人間だから。つらいことがあっても飯、食えよって。それぞれのバランスとそれぞれのやり方でやっていけばいい。これは僕にとって大きなテーマでもありますね。

難民支援に関しては……やっぱり一度見てしまったら、目を背けられないですよね。初めておそるおそるレバノンの難民キャンプに行ったとき、防弾の窓ガラスの車に乗って、テロがあったショッピングモールに行って、ホテルに入るのもセキュリティを通らないといけないような状況。空港にも2か所、セキュリティがあって、兵隊が銃持って歩いてる。なんだこれは?って。

難民キャンプに着いて、自分が持ってるギターを見て「Wow!」って言う子どもたちと、泥まみれでわーって遊んで。山の向こう側のシリアは紛争している最中で、畑で一緒にサッカーやって……帰り道、ずっと俺、泣いてました。ロスに帰ってから、現地の職員から「子どもたちがロックスターになりたいって言ってる」って聞いて、また(涙が)ダーって。そんな簡単なことじゃないよ、ギターさえないんだから……だけど、少しでも新しい世界を見せてあげられた。そのことにはすごく可能性を感じて、自分にも何かできるのかも、って思ったんですよね。