キング牧師から受けた影響
大田さんは、自身を沖縄出身だと紹介した。米軍基地があり、沖縄は米国の施政権下だと説明し、沖縄の現状にできるだけ理解を示してもらおうと思った。
日本からということで、ジャップと言われることもあった。沖縄は戦場地だったこともあり、アメリカではよく知られていると感じたという。大田さんは、留学時代に出会った人々が「その後の私の人生における最大の財産」と語った。
「アメリカに行ったことは非常に感謝しているし、アメリカで学んだのは、差別の問題。 僕は、マーチン・ルーサー・キングを非常に尊敬していて、彼がちょうど大学院で博士号を取って、バス・ボイコットを始めた時に僕はアメリカにいたわけね。彼の言動を絶えず注目していて、非常に尊敬して、彼が殺されたメンフィスのアパートを訪ねたこともあった。そこで彼が最後に演説したテープを買ってきたことがある。
そうしたら彼がインドのガンジーを非常に尊敬しているということが分かったわけね。僕はアメリカから帰ってきて、インドに行ってガンジーの後を辿って歩いた。そういうことをしないと、おそらく僕はアメリカかぶれになって、変な人になっていたと思うよ。
東南アジアを5回くらい周ったことがある。自分一人で。アジアとは何か、アメリカとは何か、日本とは何かということが分かってきて。韓国やイギリスに呼ばれていって、国境を越えてつながっていく。このあいだは、ロシアのモスクワの学生が訪ねてきた。また中国の北京や中東からも訪ねてくる。こちらが働きかけないでも向こうから来るようになった。
(中略)アメリカに行って、民主主義とは何か、人間とは何か、そういうものを徹底的に学ばされたということが非常にプラスになった。その点で、アメリカ留学したということはとても良かったと思っている」